“ジャニーズ事務所最後の日”となった10月16日、『ジャニーズ性加害問題当事者の会』が、最後の要請書を同会ホームページで公開し、波紋を広げている。
要請書は7つの項目から構成される。
くまなく読み込むと、当事者の会が求めている“理想像”が見えてくる。
なかでも衝撃的なのは、1項目の
「新会社で得た利益も被害者への補償および救済の実施に充てられるべき」
という主張だ。
ジャニーズ事務所は17日付で社名を『SMILE-UP.』に変更。
同社は性被害者の補償業務のみを生業とし、将来的には廃業する。
所属タレントの受け皿となるのは、11月に立ち上げる新会社で名前は公募によって決まる。
当事者の会の主張では、エージェント会社へ引き継がれる事業活動で得られる利益は旧ジャニーズ事務所から引き継ぐ所属タレントの各種版権や肖像権、グッズ収入から不動産に至るまで、実質的に
「ジャニー喜多川氏の遺産の基に成り立っている」
と説明。
その上で、利益の一定額を、被害者の補償および救済、さらに、性加害の被害者を支援する団体、身寄りのない未成年者を支援する団体などへ寄付することを求めた。
この理論だと、ジャニー氏命名のグループがカレンダーを発売したり、曲を歌った場合に“ジャニー氏の遺産の基に成り立っている”と解釈され、その売り上げの一部を被害者補償に充てなければならない。
ファンからは
《それはおかしい》
《ジャニー氏関係なく努力しているグループもいる》
《ジャニー喜多川の“遺産”という言葉が抽象的でよくわからない》
と疑問の声が噴出している。
このほか、要請書では
「被害者救済委員会に、当事者の会が推奨する複数名が参加すること」
を求めた。
当事者の会は
「被害者側の声を聞かずに、ジャニーズ事務所の独断で被害者救済委員会を立ち上げた」
と不満をあらわ。
現在、救済委員会で金額算出を実質行っているのは、元裁判官の3名。
当事者の会は
「『法を超えて』を前提とすると言いながら、元裁判官による金額算定が印象付けられるこのような体裁で窓口サイトを立ち上げた」
と批判している。
当事者の会をめぐっては、3日に東山紀之や藤島ジュリー景子氏と面会した際に、平本氏が救済委員会入りを直談判したとされる。
当事者の会を知る関係者の話。
「要は『法を超える』補償と言いながら、元裁判官3人が金額を決める限り、常識的な金額に落ち着くことを危惧しているのです。
『法を超えても、法外な金額』は請求できないということ。
当事者の会の一部メンバーはまさに法外な金額を請求する気満々という話も聞きます。
その辺りも考慮してクギを刺したのでしょう」
これに紐づいてくるのが、SMILE社にある資産、補償に充てる予算を把握したいという要望だ。
SMILE社はここまで保有資産や予算を明らかにしておらず、当事者の会としては
「一体いくらまでなら補償できるのか?」
と疑心暗鬼になっている。
救済委員会に推奨メンバーを送り、その全容を把握したい意向もありそうだ。
SMILE社と性被害者が条件面で折り合った際に結ぶ「示談書」の変更も求めている。
当事者の会としては、その場限りの慰謝料ですべてが終わりというわけではなく、今後もあることがきっかけで被害のフラッシュバックが起こり、心身に重大な影響を及ぼす可能性があると警鐘している。
「恒久的な補償を求めていると言えそうです。
性加害のせいで、生涯にわたり苦しみ、正常な社会生活を送ることができない人もいる。
これとは別に、補償の範囲を被害者家族にまで広げることも強く要請しています。
苦しんでいるのは、当事者だけではないという理論です」(スポーツ紙記者)
ジャニー氏が犯した性加害は人類史に残ると言っていい。
石丸志門副代表がYouTubeチャンネルで
「お金目当てです!」
と断言しているように、当事者の会にSMILE社はどこまで真剣に向き合うことができるのだろうか――。