発売から2週間、フリマアプリにはすでに100冊を超える出品が……。
『春馬くんとの“未来の雑談”~三浦春馬の勉強ノート~』
“暴露本”という批判で発売前から多くのファンの怒りを買った三浦春馬さんのボイストレーナーだった斉藤かおる氏による1冊だ。
「春馬さんと親交が深かった斉藤さんは、これまでも自身のSNSで春馬さんのプライベートを、彼の死後も発信していました。
今回の著書は、そんな斉藤さんによる“私が知っている春馬くん”をまとめた集大成的な1冊といえます。
ボイストレーニングでの彼のひたむきな努力などを語るのであればファンは歓迎したでしょうが、それだけでなく、恋愛という彼の“特別なプライベート”にも触れていることが目次に記されていたので、発売前からファンの怒りを買ったのです」(芸能プロ関係者)
そのため“絶対買わない”というファンはSNSで散見された。
しかし、“怖いし知りたくないけど、確認するために中身を読もう”と思った人も多かったのだろうか。
冒頭のように一読し、すぐ売りに出した人も多いようだ。
では、“感想”はどうだろうか。
販売サイトを見ると、星5つの評価も多い一方、低評価も多い。
『Amazon』では全体の30%もが星1つの評価となっている。
《ほとんどが、心あたたまる内容でした。ただ、恋のことは、春馬くんが語らなかったことを、あんなに詳しくいらなかったと思います。相手もおられることで‥イニシャルまで必要だったのかと思います》
《最も気に入らないことは、レッスン料を払って習っていた生徒が亡くなっているのに彼のプライバシーを、本人の許可なくわざわざ本にして出版したこと》
《本書に出てくる税金の支払い漏れについての箇所。これって書く必要あります?》
《恋人のこと。お母さんのこと。直接何かしら報告、相談受けたわけでもないのに、どうして本にして世に出したのですか?》
《悲しいけれど、死人に口なしで、本人不在では反論も訂正も何もできないので、かわいそうだなと感じました》
著者の斉藤氏は書籍発売前に『週刊女性PRIME』が問い合わせた際には、「グリーフワークのプロセスを忘れずに、気持ちがあたたかくなるような内容になるよう心がけて書いております」と回答していた。
一部は伝わったようだが、発売前の批判のとおり、やはり受け入れられなかった人も多かったようだ……。
春馬さんにまつわる批判・炎上はつい先日も新たな“火種”が生まれた。
“まつわる”といっても春馬さんはもういない。
斉藤氏と同様に、ある種のデリカシーのなさがそれを生んでいると言っていい。
「初めて観たのがブロードウェイで大感動と言いますか、すべてにおいて圧倒されて、これはぜひ日本で上演したいなという風に思った」
9月18日に放送された『ミュージックフェア』(フジテレビ系)にて、そう話したのは城田優。
10月1日にミュージカル『キンキーブーツ』は再演される。
ドラァグクイーン“ローラ”役は城田。
その“前任”は春馬さんだ。
「16年、19年と日本でも上演されてそっちの方も観まして、とにかくポジティブなエネルギーをたくさんもらえて劇場の一体感が凄かったですね」とも番組で語っていた城田。
番組でのこれらの城田の発言が春馬さんファンの怒りを買っている。
また、それは“一般のファン以外”にも及んで……。
ある春馬さんファンは、番組の動画を引用する形でツイッターに「嘘ついてる」と投稿。
その投稿をさらに引用する形で以下のツイートが投稿された。
《同感です…だから暴く人が支持されてリーダーになる世の中ダークヒーローの時代》
声の主は映画監督の本広克行だ。
彼がメガホンを取った映画『ブレイブ』に春馬さんは出演している。
同作は春馬さんの死後に公開された“遺作”の1つ。
本広は公開時のインタビューで春馬さんの演技や演出への提案を絶賛し、「三浦春馬という役者は、本当に作品全体のことを考えられるすばらしい役者だったなと思います」と話していた。
“暴く人が支持されて”が指すのは、8月の参議院選で当選した“ガーシー”こと東谷義和議員と考えて間違いはないだろう。
議員になった今も会員制サロンにて“暴く人”を続けている。
本広のそのツイートは現在は削除されているが、春馬さんファンの怒りの声に“一般のファン以外の人”が、SNSという不特定多数が目にする場でコメントをすることはなかなかに珍しいことである。
ファン、そして彼はなぜ城田の発言に怒りを示したのか……。
「城田さんは番組で“これはぜひ日本で上演したいなという風に思った”と話していました。
“前任”であり、日本での“初演”を務めたのは春馬さんです。
そして生前、春馬さんは“『キンキーブーツ』を観て、日本で上演したい”という趣旨の発言を取材で答えています。
つまり同様の発言をしている。
ファンにしてみれば、“なんで自分が最初にそう思ったから日本での上演に至った、みたいにとらえられることを言うのか”となった。
また、城田さんは春馬さんの名前を出していないことも批判に拍車をかけた形になりましたね」(テレビ局関係者、以下同)
また批判を呼んだのはコメント自体だけでなく、これまでのさまざまな事情が絡んだ結果ともいえるようだ。
「城田さんは8月に取材を受けた今回の『キンキーブーツ』についてのインタビューにて、“今回は初演、再演とやって来たキャストがほぼ揃っていて、その中に僕が入っていくので、積み上げて来たものを壊しちゃいけないという思いと、いい意味でぶっ壊してやろうという気持ちがあります。”とも話していました。
ぶっ壊すが指すものは“日本のキンキーブーツ”、すなわち春馬さんが心血を注いだキンキーブーツでもあります」
同じインタビューで城田は次のようにも語っていた。
《「日本初演(2016年)は、僕は同時期に『エリザベート』に出演していたので観られなかったんです。最初に観たのは2017年かな、ニューヨークに行った時にブロードウェイで」》
前出のように城田は『ミュージックフェア』にて「16年、19年と日本でも上演されてそっちの方も観まして」と話している。
日本で観たのか、観ていないのか……。
「城田さんは春馬さんについてメディアでまったく触れないというわけではありません。
今回のキンキーブーツのオーディションを受けた理由として、春馬さんから“いつか優くんにもローラを演じてほしいんだよね”と言われたと春馬さんの死後に明かしています。
ファンから見れば、城田さんの発言は信ぴょう性がなく、それゆえに熱意も感じられず、そのうえ春馬さんのかつての発言をさも自分発信のように語る姿、都合がいいときだけ春馬さんの名前を出すような姿に怒りを感じてしまうわけです。
“利用するな”と」(前出・テレビ局関係者)
一方、城田の発言の意図について、ある舞台関係者は次のように“擁護”する。
「番組での発言はちょっと誤解されて伝わっているんです。
まず『キンキーブーツ』について、城田さんが初めて観たのはブロードウェイ。
日本版を観たのは’19年です。
城田さんは“16年、19年と日本でも上演されてそっちの方も観まして、”と言ったけれど、“16年、2019年版どちらも観た”という意図では発言してないのですが、両方を観たかのように切り取られてしまっており、それが誤解を生んでしまったというか……」
春馬さんはこの世にいない。
いかなる“暴露”に対しても、いかなる“事情”に対しても、彼が反論することは叶わない。
今を生きる人が“三浦春馬”という稀有な才能を語る際は、“春馬さんはもう否定も肯定もできない”ことを念頭にリスペクトを持って語るべきだろう。