東京都大田区の都立高校で激辛のポテトチップスを食べた高校生の男女14人が胃の痛みや吐き気を訴え、救急搬送された騒動が波紋を広げている。

 

テレビ番組の「激辛チャレンジ」が悪影響を及ぼしているのではと指摘され、ネット上で物議を醸しているようだ。

 

16日の午後1時ごろ、大田区の都立高校から「辛いお菓子を食べて体調不良になった子がいる」との通報があった。
当日は男子生徒のひとりが激辛の「18禁カレーチップス」を持ってきており、昼休みに同級生ら計33人に分け与えたところ次々と体調不良を訴え、女子生徒13人、男子生徒1人の計14人が救急搬送された。
いずれも軽症で命に別状はないという。

 

「18禁カレーチップス」を販売する磯山商事は、商品の箱に「辛すぎますので、18歳未満の方は食べないでください」と記載。
高血圧や胃腸の弱い人などにも食べないように注意喚起していたが、同社は事件を受けて「本日、18禁カレーチップスを召し上がった高校生が病院へ救急搬送されたとの報道に接しました。お客様はじめ、関係各位に対し多大なるご迷惑をおかけいたし申し訳ございません」と謝罪している。

 

そんな中、エジプト出身のタレント・フィフィの指摘をきっかけに議論が巻き起こった。

 

フィフィは16日付の自身のSNSで、今回の事件について「アメリカでは激辛ポテトチップを食べて亡くなった若者もいます。激辛を食べて競うような番組やそうした内容の動画の影響もあるかと…」とコメント。

昨年9月にアメリカで14歳の少年が激辛のトルティーヤチップスを食べた後に亡くなり、検視当局が「カプサイシンの多量摂取が原因で心臓発作が起きた」と断定した事件を踏まえた上で、無理に激辛料理を食べるようなテレビ番組や動画に若者たちが影響されているのではないかと推察した。

 

現在、テレビ界では『有吉ゼミ』(日本テレビ系)を筆頭に「激辛チャレンジ」がバラエティの定番企画のひとつになっている。
大量のトウガラシなどを使った激辛グルメにタレントたちが挑み、汗や涙を流してヒーヒー言いながら完食を目指すというものだ。

 

鈴木亜美のように激辛好きで仕事を増やしたタレントもおり、テレビをマネして激辛料理を食べまくるYouTuberらも多数出現するなど、激辛グルメは一過性のブームではない盛り上がりとなっている。

 

しかし、アメリカで死亡事故が起きていることからも分かるように、激辛料理は身体への負担が大きい。
特に、未成年は身体が未発達で大人よりも粘膜や免疫機能などが弱く、影響が顕著に出やすいといわれている。

 

これを受けて、ネット上では
「異常なレベルの激辛料理をタレントに食べさせて面白がっているテレビ番組は問題ある」
「激辛だけじゃなく大食いもそうだけど、無理して食べる企画はやめるべき」
といった意見があがっている。

 

その一方で
「テレビの影響があるにしても、箱に注意書きがあったのなら本人(子どもなら保護者)の自己責任では」
「何でもかんでもテレビの責任にしたら、何も放送できなくなる」
といった擁護のコメントもあり、賛否両論となっているようだ。

 

かつてテレビ界ではフードバトル系の大食い競技番組が流行していたが、2002年に番組をマネして早食い競争したことで起きたとみられる未成年の死亡事故があり、それを機に同系統の番組が激減したことがあった。
今後の世論の動きによっては、激辛チャレンジ企画も同じような道をたどる可能性がありそうだ。