5人組ダンス&ボーカルグループ・AAAの與真司郎(34)が26日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで『與真司郎 announcement』を開催し、自身がゲイであることをカミングアウトした。

 

ファンからの声援を受けて号泣しながら告白する中、AAAのメンバー4人(西島隆弘、宇野実彩子、日高光啓、末吉秀太)も会場に駆けつけて、その様子を見守った。

 

與は1988年11月生まれ、京都府出身。
2005年に結成されたAAAのメンバーとして活躍し、13年からはSHINJIRO ATAE名義でさまざまな活動も精力的に行ってきた。
6月14日をもって、約20年間におよぶエイベックス・マネジメントとの専属契約を満了し、独立した。

 

與が真意を伝えるため、会場で読み上げた手紙の全文を紹介。

以下、前編となる。

 

これから僕が話すことは、みなさんが期待して、望んでいる内容ではないかもしれません。
中には理解するのに時間がかかる方もいると思います。
でも、これから僕が話すことがきっかけで、少しでもこのことについて理解が深まり、世界が変わってくれることを願っています。
今日、たくさんのファンのみなさんがここに参加することを希望していたのに、席に限りがあり、来られなかった方も出てしまったと、スタッフさんから聞きました。

 

これから話すことを、SNSやプレスリリースを通して発表するという選択肢も正直ありました。
でも、きょうは、どうしてもみなさんの顔を見ながら直接伝えるべきだと思い、このような形を取らせてもらいました。
僕自身、長い間この不安に闘ってきました。
本当に何年もの間、自分の一部を受け入れることができませんでした。
それでも、さまざまな葛藤を乗り越え、今やっと、みなさんにこのことを打ち明ける決意ができました。

 

それは僕がゲイであるということです。
みんな、たぶんすごく驚いていると思うし、でも、最後まで聞いてください。
カミングアウトを決意するまでにすごく時間がかかりました。
自分ですら、自分のセクシャリティーを受け入れることができませんでした。
もし自分がゲイだということを認めてしまったら、今度は世の中が自分のことをアーティストとして認めてくれないのではないかと、脅威を感じることもありました。
でも、悩みに悩んだ結果、ファンのみなさまをはじめ、僕が大切にしているすべての人たち、そして僕自身のためにも、本当のことを受け入れ、それをしっかりと伝えることが僕なりの誠意だと思いました。

 

そして、僕と同じ境遇に置かれている方々にも、勇気を持つきっかけにしてもらいたかった。
自分はひとりではないということをわかってほしかったんです。
カミングアウトを決意する前は2つの道しかないと思っていました。
ひとつ目は、本来の自分を受け入れることなく、エンターテインメントの世界に居続けること。
もうひとつは、エンターテインメントの世界から退いて、世間から隠れてひっそりと暮らすことでした。

 

でも、たくさんたくさん考えて、3つ目の選択肢にたどり着きました。
それはゲイということを公表した上で、エンターテインメントの活動を続けるということです。
ありのままの自分で生きていくことで、大好きなエンターテインメントの活動をあきらめたくなかったんです。
僕はこれを機に、まったく違う人間になってしまうわけではありません。
むしろ、このことを打ち明けたことによって、本来の自分をわかってもらい、ファンのみなさんとの距離が縮まることを本当に願っています。

 

自分がゲイであることを明確に理解するまで時間がかかりましたが、今振り返れば、昔からその認識があったような気がします。
僕が子どもの頃、テレビではLGBTQ+のことをおもしろおかしく扱っている時代でした。
もちろん、その頃は今みたいにインターネットが普及していなかったので、自分のセクシャリティーについて疑問を持ったとしても、そのことについて知る機会はほとんどありませんでした。
だから、その頃は、自分が間違っているんだ、自分はおかしい…

 

(こらえきれずに大粒の涙を流す。ファンから「頑張って」の声援が寄せられる)。

 

ごめんね。
だからその頃は、自分が間違っているんだ、自分がおかしいんだと思っていました。
誰かにこのことを相談することもなく、自分の感情を押し殺していました。
そんな中、14歳でエンターテインメントの世界に入り、毎日仕事が忙しく、気づいたら自分の疑問や悩みは多忙な日々に悩みが紛れていました。
その頃から、本当にたくさんの人に支えてもらっていましたが、それでもどこかで、自分はひとりぼっちのような感覚でした。

 

そんな生き方をしているうちに、このままではメンタルにも影響が出てくると思い、ある時、海外に移住することを考え始めるようになりました。
海外に行き始めた頃の話ですが、ある日、男性同士が街中でキスしているのを見て、僕は衝撃を受けました。
周りの人たちで、彼らの行動を気にしている人は誰もいませんでした。
その時、初めて自分はひとりじゃないんだって、どこかホッとしました。
LGBTQ+の人でも堂々と幸せになる道はあるのだと、希望がわいてきました。

 

完全に自分のセクシャリティーを受け入れるには、そこからさらに時間はかかりましたが、LGBTQ+であろうと、どんな人間でも幸せに自分らしく生きる権利があるんだということに気付かされました。
だから、僕も自分らしく生きていこうと、この出来事がきっかけで、自分と向き合っていくことになりました。
LGBTQ+の僕たちも同じ人間です。
ほかの人と違う扱いをされたくありません。

 

僕でさえ、このことを受け入れるには時間がかかりました。
それと同じように、みなさんにとっても時間がかかることだと思います。
日本では、あまりオープンにLGBTQ+について話し合うことも少ないと思うので、さらに難しいことだとわかっています。
僕自身も、きょうカミングアウトをしたばかりなので、これからもLGBTQ+について学ぶことがたくさんあると思っています。

 

さまざまな固定概念によって、ひとり抱え込み、悩んでいるLGBTQ+の方たちが世界中にいます。
ハラスメント、いじめ、世間的なプレッシャーに苦しみ、それによって精神的にダメージを受ける人も決して少なくありません。
僕がとある記事を読んで得た情報なのですが、LGBTQ+だと自認している方のうち、48%は自殺について考えたことがあり、さらにそのうちの12%は実際にそれを行動に移していたという統計を目にしました。
自分の性の対象が同性やどちらの性に向いているというだけで、命を絶つ必要があるのでしょうか。
理解されずに、自分のことを責め続けて、最終的に耐えられずに追い込まれてしまう方がこれだけ多く存在するということを、ひとりでも多くの方に知ってもらいたいです。

 

きょう、僕がこの発表をしたことに驚いている方もいると思います。
受け止める方も、難しいと思う方もいるでしょうし、受け止めるのに時間がかかることも理解しています。
今、たくさんの情報を一度に発信しているので、それも当然のことかと思います。
母にカミングアウトした時、幸い母はすぐに僕のことを受け入れてくれました。
しかし、公にカミングアウトしたいと話した時に、母は僕がひどいバッシングを受けるのではないかと心配し、反対されました。

 

でも、時間が経つにつれ、母がLGBTQ+の課題について一緒に考えてくれるようになり、僕が公にカミングアウトすることも賛成してくれました。
僕のウェブサイトを見ていただくと、LGBTQ+に関するリンクがいくつか貼ってあります。
これを機に、知らないところでくるんでいて、助けを必要としている人たちがいるということを、多くの方に知ってもらいたいと思いました。

 

LGBTQ+の方たちの多くは、セクシャリティーを理由に、いじめられたり、平等でない扱いを受けています。
でも、希望はあると思いますし、世界は変わってきていると思います。
何事も、ネガティブなことでも、みんなで力を合わせれば、ポジティブなことに変えていけると思います。
もし、この会場の中にも自分のセクシャリティーで悩んでいる方がいたら、僕のホームページをぜひご覧ください。
あなたは絶対にひとりじゃない、僕はあなたのことを全力で応援します。
同じ悩みを抱えていたひとりの人間として、LGBTQ+の方々には、胸を張って堂々と生きていってほしい。

 

以下、後編となる。

 

もう一つわかっていただきたいのは、ゲイだからといって、これまでの自分が変わってしまうということはありません。
僕は今の自分のままで十分幸せです。
これからも変わらず、與真司郎として生きていきます。

 

そして、最近僕はアーティスト活動を再開することについて考えるようになりました。
AAAが活動休止になって、自分もソロアーティストとして活動を続けていく意味はあるのかと悩んだ時期もありました。
自分はアーティストとして、どんなメッセージを発信していけばいいのかが、わからなくなってしまったからです。

 

でも、LGBTQ+の方に限らず、悩んでいる人を一人でも多く救いたいという気持ちがありました。
そして、ありのままの自分を打ち明けようと決意したことによって、発信したいメッセージも明確になりました。
本来の自分を表現しながら、聴いてくれる人を幸せにするということが、僕のアーティストとしての一番の目標です。

 

そこで一つ、発表があります。
アーティスト活動を続けていこうと決意したことによって、今回、新曲をレコーディングしました。

 

(会場では拍手が起こり、與は大粒の涙を流す)

 

タイトルは「Into the Light」です。
日本語では「新たな光の差す方へ」という意味です。
世界中にこの曲が届いたらいいなという思いを込めて、歌詞はすべて英語になっていますが、日本語訳も考えました。
後ほど、ここに来てくれたみなさんにいち早く聴いていただきたいと思っています。

 

そして、この曲の売り上げの一部を、日本のLGBTQ+の支援団体に寄付します。
「Into the Light」を通して、僕の経験だけではなく、僕と同じ境遇に置かれている方についても理解を深めるきっかけになってくれるとうれしいです。

 

LGBTQ+に限らず、みなさん一人ひとりの経験と重ね合わせて聴いていただきたいと思っています。
音楽は世界共通です。
つらいトラウマを乗り越えた経験や、今実際、人生で葛藤している方々もたくさんいると思いますが、僕がメンタルヘルスについて発信することで、世界のどこかで勇気づけられる人がいてくれたらいいなと、心の底から思っています。

 

人生いいときもあれば、うまく行かないときもあります。
それでも諦めずに進み続ければ、“新たな光が差す方へ”導かれていくと思います。
僕も正直、この先どうなるのか自分でもわかりません。
でも、一度きりの人生、後悔したくないんです。

 

世界がもっと明るくなり、どんな人でも生きやすい場所になってくれることを願っています。

 

そして、最後にもう一つ大きな発表があります。
実は今、ハリウッドで僕の人生についてのドキュメンタリーが制作されているとのことです。
プロデューサーは『グリーンブック』や『メリーに首ったけ』で知られるピーター・ファレリーと、『タイガーキング』で知られるフィッシャー・スティーヴンスです。
2人ともアカデミー賞などを受賞している偉大な方々です。
彼らをはじめとした、ハリウッドで活躍している方たちが、僕の人生経験やこれからやりたいと思っていることに共感してくれました。
この機会に感謝するとともに、自分ができることを精いっぱい取り組みたいと思います。

 

本日は、本当にありがとうございました。

 

以下、トーク。

みんな、驚かせてごめんね。本当にごめん。
みんながこんなに…俺は別に世間からバッシングされるのはよくて、みんなが…これで帰って友だちにいろいろ言われたりとか。

 

(ファン「大丈夫!」)

 

どれだけいいヤツやねん、お前ら!ありがとう。まさかの展開すぎてどうしたらええかわからへん。

 

みんなが応援してくれて、アーティスト活動をやめてもコメントをくれたりとか、トークショーにきてくれたりとか。
ホンマに…待たせてごめん。
誰もしたことがないことを経験させるのも、申し訳ない気持ちもあったりとか。
ここに来れたのも、お母さんと兄と姉も本当に応援してくれて。

 

友だちも、LAから来てくれている人もいたりとか。
日本語で初めてカミングアウトした人がここにカメラマンでいたりとか、あと…スタッフのみんなが本当に本当に応援してくれて、「絶対に真さんのファンだったら絶対にわかってくれる」って勇気づけてくれて。
でも、こんなに震えるかっていうくらい…(足が)震えて。

 

そして今日、なんと、メンバーがみんな応援しに来てくれています。

 

(客席最後方に西島隆弘、宇野実彩子、日高光啓、末吉秀太の姿。ファンからは驚きの声があがる)

 

メンバーでは最初に(宇野)実彩子に言って。やっぱり女の子のほうが言いやすくて…。
あと、これは絶対に書かれるから言わせてもらいたい。「メンバーのみんな、ごめん。みんなタイプじゃない(笑)。
でも、人間としては大好きだよ!

 

(末吉「どないやねん!俺は真司郎大好きなのに!」)

 

電話したら来てくれるって言って、きょうも本番前から「俺らがついてる」って。

 

本当にきょうはみんな来てくれてありがとう。
“チーム與”がみんなでよかった。
みんなが悩んだときとか、人生でなにかあったら、絶対に俺が助けるから。死ぬまで一緒に生きていこう。

 

…もっと早く言えばよかった!
プロミス達成したよ、「またアーティストとしてステージに戻ってくる」って。

 

また、会いましょう。

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