サンケイスポーツで自伝エッセー「破れ星、燃えた」を連載した脚本家、倉本聰氏(88)の新作「海の沈黙」が映画化され、2024年に公開されることが25日、分かった。

 

映画作品は35年ぶりで、主演俳優、本木雅弘(57)とヒロインの女優で歌手、小泉今日子(57)の豪華共演が実現。
ともに1982年にアイドルデビューし、大スターとなった2人を思い描きながら、切ない大人のラブストーリーを完成させた倉本氏は「どう演じてくれるか楽しみ」と胸を躍らせた。

 

ドラマ「北の国から」や「前略おふくろ様」など名作を生み出してきた脚本家人生をつづった「破れ星、燃えた」が2月21日に終了してから2カ月―。
88歳の今も創作に燃える巨匠が、早くも新作を手掛けていた。

 

本紙の取材で、倉本氏が書き下ろした「海の沈黙」が来年公開予定で映画化されることが判明。
1988年の「海へ-See you-」(高倉健さん主演)以来、35年ぶりとなる映画作品は、画家の主人公とロウソク工房を営む元恋人との切ないラブストーリー。
主演は本木、ヒロインは小泉に決定し、監督は「沈まぬ太陽」や「Fukushima50」など硬派な社会派映画で知られる若松節朗氏(73)が務めるという。

 

倉本氏はサンケイスポーツの取材に応じ、直筆の映画タイトル「海の沈黙」を公開。
「破れ星―」を連載中だった1月に〝同時進行〟で完成させ、「構想から30年以上かけた」と説明。
東大文学部美学科を卒業した倉本氏は、ある画家のドキュメンタリー番組を見て以来、「美とは何か」を考えるようになったといい、「これまでに見聞きしたことを織り交ぜて」書き上げた。

 

27作目の映画となる今作は、主人公とヒロインの配役を想定しながら〝当て書き〟。
本木については95年のNHKドラマ「涙たたえて微笑せよ 明治の息子・島田清次郎」で狂気の天才小説家、清次郎を演じた頃から「しびれた」と絶賛しており、昨年7月の本紙インタビューでも「『破れ星―』の自伝がドラマ化されるなら自分の役は本木さんがいい」と語っていた。
今回、念願の初タッグが実現し、2016年の主演作「永い言い訳」以来、7年ぶりの映画出演となる本木もオファーを快諾したという。

 

小泉の倉本作品出演は05年のドラマ「優しい時間」に続く2作目で、当時を振り返った倉本氏は「ナース役がよかった」と自然体の演技を評価。

 

若松監督とは、05年のドラマ「祇園囃子」で仕事をしており、「ぜひご一緒したい」とラブコールを送った。
18年ぶりの〝再会〟となるが、6月初旬のクランクインに向け、「監督と毎日電話でやりとりをしている」と準備に余念がない。

 

何より「海の沈黙」は「本木と小泉のために書いた」と強調。
アイドルの豊作イヤー〝花の82年組〟と呼ばれた元シブがき隊の本木と小泉は同期デビューで気心の知れた存在。
そんな2人が年輪を重ね、実力派俳優として重厚な恋愛を体現するだけに、倉本氏も「どう演じてくれるか楽しみ」と期待する。

 

撮影は北海道、東京、京都で行い、北海道では一大ロケを計画。倉本氏の新たな代表作がもうすぐ産声を上げる。

 

〝花の82年組〟は、本木らシブがき隊と小泉をはじめ、中森明菜(57)や松本伊代(57)、堀ちえみ(56)、早見優(56)、石川秀美(56)らが名を連ね、同期で仲がよかったことは有名だ。
NHKで昨年放送された小泉のデビュー40周年特番には本木が出演し、人生の節目で「彼女から刺激を受けた」と語っていた。
2人は92年のドラマ「あなただけ見えない」で恋人役を演じており、「海の沈黙」は31年ぶりの共演。
元恋人役はまさにぴったり!?