文 在寅(ムン・ジェイン)前大統領時代、過去最悪とさえ言われた日韓関係だが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領になってから、風向きが変わって来た。
尹大統領は、何とか日韓関係を改善したいようだ。

 

文政権時代、2018年10月、韓国最高裁が日本企業に対し、元徴用工や遺族への賠償を命じる判決を確定した。

 

当時の安倍首相は「国際法に照らしてありえない判断だ。日本政府としては毅然した対応をする」と、かなりお怒りのご様子であった。

 

当たり前である。
徴用工問題に関しては1965年の「日韓請求権協定」で、とっくに解決済みなのだ。
しかし当時の文政権は、日本企業の韓国国内の資産を差し押さえて売却する手続きまではじめたのだ。
日本としては許せることではない。

 

そもそも日本と韓国は、1965年に国交を結んだ。
そのとき決めた協定が「日韓請求権協定」だ。

 

協定では、韓国に「経済協力金」として無償3億ドル、有償2億ドルを供与し、両国の政府間と国民の間での賠償の請求権問題を「完全かつ最終的に解決」としたのだ。

 

それをまた問題化して「金よこせ」と言ってきたのである。

 

日本政府は対抗措置として、半導体材料の輸出規制を強化すると発表。
輸出手続きで優遇する「ホワイト国」からも韓国を除外するなど、日韓関係は悪化の一途をたどってきた。

 

しかし現在の尹大統領になると、日本企業に命じられた賠償分を「韓国の財団が肩代わりする」という解決策を発表した。
上げた拳を自ら降ろした形だ。

 

当然、韓国内から「屈辱外交だ」という声が上がる。
韓国内ではこの解決策を「評価する」が約4割、「評価しない」が約6割と「評価しない」のほうが多い。
大統領の支持率も少し下がったようだ。

 

さて、日本としてはどう判断すればいいのだろう? 

 

「慰安婦問題」では、2015年に元慰安婦を支援する「和解・癒し財団」を設立することで「最終的かつ不可逆的な解決」と決定した。

しかし2018年、文在寅政権は一方的に財団を解散してしまう。

 

徴用工問題も1965年に「完全かつ最終的に解決」したはずなのに、2018年になると日本企業に賠償金を出せと言い出した。

 

つまりこの国は信用できないのだ。

 

今回、尹大統領は本当に大きな政治的決断をしたと思う。
日韓関係の改善は、いまのところ韓国側・尹大統領がボールを握っている。
しかしいかに尹大統領が改善案を持ってきても、はたしてどれだけ信用できるのか・・・

 

4年後には韓国大統領選があり、もし大統領が代わると、そのときまた慰安婦や徴用工、あるいはまた別の何かを問題化して「金を出せ」と言い出すような気がするのだ。