本日11月1日をもって26年の活動に幕を下ろすV6。

 

2020年にデビュー25周年を迎えた際には“勤続25年の男たち”というキャッチコピーを打ち出したように、1995年11月1日のCDデビューからこれまで、メンバーが一人も欠けることなく6人で駆け抜けてきた。
新たな門出を前に、V6の活動を振り返りながら、彼らがジャニーズにもたらしたものについて考えてみたい。

 

1995年に結成されたV6。
坂本昌行、長野博、井ノ原快彦からなる20th Century(以下、トニセン)、森田剛、三宅健、岡田准一によるComing Century(以下、カミセン)と2つのユニットが合体したグループ構成は、当時としても珍しいスタイルだった。
V6とほぼ同時期に結成・活動していたのがTOKIOとKinKi Kids。
1994年9月デビューのTOKIOはバンドスタイル、1997年7月デビューのKinKi Kidsはデュオでの活動とそれぞれ差別化を図る中で、V6はSMAPらから続くダンス&ボーカルグループとしての形を継承していた。

 

V6はデビューと同時に『バレーボールワールドカップ』のイメージキャラクターを務め、この枠はその後も嵐、NEWS、Hey! Say! JUMP、NYC boys、Sexy Zoneらへと続いていく。

 

2019年7月26日放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)にトニセンが出演した際には、V6の結成秘話も語られた。
『バレーボールワールドカップ』のイメージキャラクターに起用されたこともあり、トニセンとカミセン、3対3の“バーサス構造”であると名付け親のジャニー喜多川氏から説明を受けたという井ノ原。
だが、デビューシングル『MUSIC FOR THE PEOPLE』のジャケットがカミセンを強調するようなデザインだったことから、「(バーサスと言いつつ)もうやる前から決まってるじゃねーか!」と冗談交じりに当時の心境を明かした。

経緯は違えど、2つのユニットを1つのグループとする構造は、ジャニーズJr.時代はMr.King vs Mr.Prince、デビュータイミングで1つのグループとして改名したKing & Princeにも継承されている。
V6は、ジャニーズにおけるグループのスタイルに新たなバリエーションをもたらした存在でもあるのだ。

 

先輩であるSMAPがバラエティの分野へ進出し、コント、料理、ライブをも詰め込んだ『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)というホームを持っていたように、TOKIOには『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)、KiniKi Kidsも『LOVE LOVE あいしてる』『堂本兄弟』(ともにフジテレビ系)とそれぞれの特徴を活かした番組を担った。

V6にとっては1997年から2008年まで続いた『学校へ行こう!』(2005年からは『学校へ行こう!MAX』、ともにTBS系)がそれにあたる。
番組をきっかけに“みのりかリズム4”なるリズムゲームが流行したほか、“B-RAP HIGH SCHOOL”などの名物コーナーが誕生。
今年10月26日には『学校へ行こう!2021』(TBS系)が生放送され、人気コーナー“未成年の主張“では勇気を出して主張する生徒たちを見守り、時には背中を押し讃える姿も見せてくれた。

 

また、生徒の夢を叶えるためアシストするなど、若者たちとともに汗をかきながら伴走する6人。
グループのスタートもバレーボールのイメージキャラクターだったように、V6を語る上で“応援”というキーワードも欠かせない要素の一つと言えそうだ。

 

さらに、10月20日に7年半の放送を終えたレギュラー番組『アメージパング!』(TBS系)でも、海外と中継を繋いでのクイズを通して様々な文化に触れてきた。
10月15日にラスト出演となった『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では三宅の呼びかけで番組の最後にタモリとの7ショットを披露するなど、国籍、年齢、性別問わず、誰に対してもフレンドリーに接する姿がなんともV6らしい。

 

V6の革新性といえば、その時代毎の音楽トレンドを巧みに取り入れてきたこと、そして歌とダンスそれぞれで6人が個性を磨いてきたことが挙げられる。
デビュー曲「MUSIC FOR THE PEOPLE」、2ndシングル「MADE IN JAPAN」のようにユーロビートを取り入れたジャニーズ楽曲は、当時としては新鮮だった。
その後もHIPHOPやレゲエを親しみやすさを保ちながら取り入れ、R&B、EDMといったジャンルにも挑戦。
ダンスについては、ジャニーズの十八番でもある様々なアクロバットでファンを魅了してきた。
力強さ、繊細さ、しなやかさなどを歌とダンスで表現してきたV6は、今日に至るまでメンバー全員が進化し続けている。

 

さらに、V6はクリエイティブ面においても大きな変化をもたらす。
三宅がグループの転機になったと語る12枚目のアルバム『Oh! My! Goodness!』の制作について、井ノ原とともに好きなアーティストたちに楽曲をオファーするところから始めたという。
「自分が愛を感じられないものを、人に提供してお金を出して買ってもらうべきではない」と三宅。
このスタンスこそが、その後のV6としての音楽活動のターニングポイントの1つになったと言えるだろう。

 

2014年、『第65回NHK紅白歌合戦』に初出場したV6。
大河ドラマ『軍師官兵衛』で主演を務めた岡田、『あさイチ』でMCを担当してきた井ノ原、『みんなの手話』(全てNHK総合)のナビゲーターとして活躍する三宅などメンバー個々の安定した活動が、『紅白』というステージへグループを導いたのだ。

 

26年間、グループとして歩みを止めることなく、同時にソロとしても挑戦を続けてきたーーV6としての活動を充実させながら、個人個人の幸せも犠牲にしない、そんな地に足ついた部分も彼らの魅力である。
V6が見せる継続力は、他のジャニーズグループはもちろん、ファンにとっても今後の人生の支えとなるのではないだろうか。

 

全国ツアー『LIVE TOUR V6 groove』最終日となる本日11月1日、同公演の模様はオンラインで生配信される。
“終わり”ではなく“始まり”の11月1日、26年分の思いを込めて、V6を最後まで見届けたい。