清原果耶が主演する日本テレビ系日曜ドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』の最終話が11月13日に放送されたが、その宣伝手法に賛否の声が出ている。
同ドラマは、第20回本格ミステリ大賞など数々の賞に輝いた小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社)を実写化したもの。
“犯人が視える”という特殊能力をもつものの、その霊視には証拠能力がないという弱点のある霊媒師・城塚翡翠(清原果耶)が、その推理力から警察にも協力している推理小説作家・香月史郎(瀬戸康史)とタッグを組み、殺人事件を解決していくという特殊設定ミステリーだ。
原作の世界観を洒脱なビジュアルと共に再現したドラマの内容は視聴者から高く評価され、世界的ゲームクリエイターで原作ファンの小島秀夫氏も「映像化は難しいと思っていました。特に実写では翡翠のイメージ再現が難しいかと。でも、清原果耶さんの翡翠はとてもいいですね」と褒め、リアルタイムで観ると宣言したことも話題になっていたが、その矢先、第4話ラストで次回が最終話になると発表され、視聴者を騒然とさせた。
「世帯視聴率は第4話までで全話平均5.3%、TVer再生数も深夜ドラマ以下の水準と低迷していたため、検索のサジェストには『打ち切り』まで出てしまう始末。
原作の1話をドラマ1話つかって映像化しており、最終話『VSエリミネーター』が第4話・第5話にあたるため、原作を知っている人からすれば、打ち切りでないことは明白だったのですが……」(テレビ誌記者)
結果的には、第5話をもって『霊媒探偵・城塚翡翠』は放送終了となるも、続編となる“新作”『invert 城塚翡翠 倒叙集』が翌週から放送されるというオチだった。
「原作ファンは大方想像がついていたのではないでしょうか。
同名の続編小説を映像化するわけですが、1作目は最後、主人公の翡翠が、香月の正体が連続殺人鬼ではないかと考え、バディ役を務めながらずっと観察していたこと、実は霊能力なんてなく、すべて推理の結果だったと“ネタ明かし”し、香月を逮捕に追いやるという展開のため、『invert』からはまたガラっと趣向が変わってしまう。
最後の最後ですべて翡翠の演技だったと明かされる仕掛けになっているため、一度幕を閉じたかったんでしょう。
原作同様、第1話から張り巡らされた伏線の数々が見事に回収される展開もさることながら、それまでは“特殊能力のせいで友人ができない、物静かな薄幸の美女”だった翡翠が、最後に自分を霊媒師だと信じ切っている香月をあざ笑い、上から目線で解説をするドSキャラに変貌し、この振り幅の大きい役を見事に演じた清原果耶さんにも絶賛の声が集まっています。
また、翡翠のサポートをする千和崎真役の小芝風花さんの出番が少なかったため、多くの視聴者が『騙された!』と思いながらも、まだまだ話が続くことに安堵し、続編で真の活躍がもっと見られることを期待していますよ」(同)
原作者の相沢沙呼氏が脚本協力していることもあって、予告映像で翡翠が「ドッキリ大成功♪」と笑顔を見せているとおり、二重の意味で視聴者を騙したドラマに仕上がったようだが……一部では白けた声もあるようだ。
「第4話の最後に第5話が最終話とサプライズ発表し、番組表でも第5話に【終】の表記があったため、多くの視聴者を騙すことに成功。
しかし日テレは、最終回について『衝撃の映像体験となること間違いなし』『その先にはこれまでのテレビドラマの常識を覆す、前代未聞の仕掛けが!』など煽りまくっていた。
【終】マークのついた“最終話”が実質最終回ではないというのは、『常識を覆す』というより、ただの掟破り。
特にこれまで民放連ドラでは、『ついに最終章!』などと煽ってあたかも最終回かのように視聴者を錯誤させる手法が批判を呼んでおり、“最終回詐欺”とも取れるやり方には冷めた反応もチラホラ。
かつて『進め!電波少年』は突然エンディングに『本日をもって終了します』などと出されて出演者も驚き、次週から『進ぬ!~』にタイトルを改めてリニューアルするということもあったが、あれはあくまで演出だったため、番組表で【終】マークはつかなかった。
今回の『霊媒探偵・城塚翡翠』のやり方は視聴者心理を逆手に取ったものだが、信頼を損なう可能性もあり、両刃の剣といえる。
ただでさえ日テレドラマといえば近年、最終回でちゃんと物語を終わらせずに『続きはHuluで』とするやり方が炎上したことも記憶に新しいですからね。
番組名が変更されるため、『invert 城塚翡翠 倒叙集』は“新番組”という扱いだが、そもそもフジの『ガリレオ』や『ストロベリーナイト』など、原作小説の第一作から取ったタイトルのままでストーリーを続けていくことはテレビドラマでは一般的で、『霊媒探偵・城塚翡翠』も別にそのままのタイトルで放送を続けていくことだってできたはずだが……」(芸能記者)
『medium』に施された仕掛けを意識した、作風にマッチした見事な“裏切り”だったと評価するか、それともただの話題作りのための“お騒がせ”と捉えるか。
【終】マーク表示は「エンターテインメント」の一環と受け止められるのか、その線引きは微妙なところだが、視聴者の度量を試しているということだろうか。
いずれにせよ、この“最終回詐欺”の影響で、Twitterではトレンド1位を獲得した『霊媒探偵・城塚翡翠』。
全話の再放送とTVer再配信が決まったこともあり、視聴率やTVer再生数のテコ入れとなることを期待したいが、『invert 城塚翡翠 倒叙集』の“第1話”ははたしてどういう結果になるだろうか。