7月6日の福岡PayPayドーム公演を皮切りに、全国4カ所全15公演(埼玉・ベルーナドームは中止)を行った『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”』が9月25日、東京ドームにてツアーファイナルを迎え、12月に『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” Christmas Special』を開催することが発表された。

 

本ツアーは、EXILE20周年のメモリアルイヤーをファンと共に盛り上げるため、EXILE ATSUSHIの限定復活が実現した“15人体制のEXILE”による特別な公演。
中でも最終日の東京ドーム公演は、この日を以てEXILEを勇退し、芸能界を引退するパフォーマー 黒木啓司のラストステージとなり、15人の勇姿を見届けるために会場には超満員の観客が集結した。

 

遡ること2年半前、2020年2月25日に開催した『EXILE PERFECT LIVE 2001→2020』京セラドーム公演を最後に、思わぬ形で終幕を迎えた“15人体制のEXILE”。
その後も、ライブ前のインタビューで現リーダーのAKIRAが
「先の見えない不透明な状況下、度重なるライブの中止や延期、スケジュールの変動により思うように皆様へEXILE ENTERTAINMENTをお届けできない日々。
僕たちEXILEにとっても、メンバー一人ひとりにとっても、歯がゆい日々が続く試練の期間でした。
しかし僕たち自身、“願いの力”を信じ、今日この日まで一丸となって走り抜いて参りました」
と語ったように、誰もが小さな希望に向かって必死に生き抜いてきたことだろう。
その結果、今年開催したアリーナツアー『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021“RED PHOENIX”』で復活の狼煙を上げ、今夏ようやく単独ドームツアーが実現。
途中、全員が揃わない公演もあったが、ファイナルの舞台・東京ドームには笑顔の15人が立っていた。

 

定刻を少し過ぎた頃、各自の“願いの力”を象徴したカラージャケットに身を包んだメンバーが、メインステージから四方に分けるように広がった花道の先端から続々と登場した。
そこに最後のピースであるATSUSHIが加わると、「POWER OF WISH」の“W”をかたどったフォーメーションで“15人のEXILE”が集結。
温かな拍手とフラッグが彼らを迎え入れる中、届けられた1曲目は代表曲「Rising Sun」。
エネルギッシュな魂の歌が、コロナ禍や不安定な世界情勢を前に曇る表情を明るく照らし、ライブの幕開けを宣言した。
続けてATSUSHIとTAKAHIROは、ツアーのテーマソングとして制作された「POWER OF WISH」を高らかに歌い上げる。

 

「皆様と最高な時間を取り戻すことができたのは、まずは皆様が会場のルールやマナーを一丸となって守ってくだりながら、共にEXILE ENTERTAINMENTを築き上げてくださり、そして何より、共にLDHエンタテインメント完全復活を“願い”続けてくださったからこそです。
ステージ上から見える皆様の喜ぶ姿、マスク越しに浮かぶ笑顔。
幅広い年齢層の方々が世代を超え、EXILEのライブという場で共にLOVE DREAM HAPPINESSを分かち合う光景。
本当に感動しました。
そして感謝の一言に尽きます」
というAKIRAの言葉通り、ATSUSHIの呼び掛けで沸き起こったクラップがメンバーと観客を結び、一丸となって楽曲を盛り上げる様は、声を出せない現状でも頼もしい輝きを放っていた。

 

TAKAHIRO・NESMITH・SHOKICHI・ATSUSHIと歌い繋ぐインタールードと、パフォーマー陣によるアグレッシブなダンスが興奮を煽った「Heads or Tails」から、「I Wish For You」や「時の描片~トキノカケラ~」といった揺るがない名曲たちを通して、そこにいる1人1人の中に息づく大切な記憶をステージに映し出していく。

 

そして、共に育ててきた楽曲で会場をあたためると、AKIRA・TAKAHIROを筆頭とする新生EXILEのターンに突入。
SHOKICHIのドラムとNESMITHのギターが熱い産声を上げる中、攻めのEXILEを象徴する「RED PHOENIX」が鮮やかな赤い翼を広げた。
全身で“自由”を表現しながら、変幻自在にフォーメーションを変えていくメンバーたち。
その生き様がダンスによく表れていた「NEO UNIVERSE」も、15人にとって“青春”そのものだった2022年の思い出に欠かせない1曲となったことだろう。
と同時に、TAKAHIROがEXILEの楽曲や歌詞を織り混ぜながら作詞した「BE THE ONE」では、メンバーがフロートに乗ってアリーナ外周を回り、20周年の先も続くEXILEとファンの絆を再確認することとなった。

 

続く、EXILE THE SECONDパートに突入すると「Going Crazy」に導かれたパーティータイムは、タオル回しで一気にヒートアップ。
「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」や「ASOBO!」では、いつもは最年長らしく振る舞っている橘ケンチやTETSUYAも、アンダーグラウンドで出会った頃のようなやんちゃな笑顔を浮かべ、遊び心溢れるパフォーマンスで観客を沸かせる。
と思いきや「瞬間エターナル」では息の合ったダンスを見せつけ、仲間と築いたものの大きさを刻み付ける6人。
最後は、AKIRAの加入後、6人体制のEXILE THE SECONDとして初めて発表したシングルから「RAY」を届け、颯爽とステージを後にした。

 

またライブ中盤には、ATSUSHIとTAKAHIROが、「Lovers Again」「Ti Amo」という2大バラードをバンドサウンドが映えるニューアレンジで披露 。
それぞれの楽曲でパフォーマー陣も情熱的なダンスを繰り広げ、ドラマティックに演出していた。

 

ATSUSHIが平和の願いを託したバラード「願い」が会場を包み込む頃、ライブは早くも後半へ。
オールメンバーによる「This is My Life」や「VICTORY」「Ki・mi・ni・mu・chu」といった人気曲たちが、時に勇ましく、時に華やかに場内を彩る。
この日初めてのMCではTAKAHIROが「今日はちょっと涙腺が……。メンディー、ちょっと顔見ていい?(笑)」とおどける一幕もあったが、メンディーの笑顔に後押しされるように仕切り直すと、「愛すべき未来へ」で本編を締め括った。

 

アンコールでは「EVOLUTION」や「FIREWORKS」といったEXILEの様々な楽曲をダンストラックにアレンジしたダンスショーケースからスタート。
様々な世代のメンバーが己の個性を爆発させて、EXILEという名の生き様をダンスに落とし込んでいく。
お揃いのジャージで24karatsメドレーを披露する中で、次々にメンバーが上裸になっていく熱い連鎖も、彼ららしい感情表現で勇ましい。
EXILEのヒストリー映像の先に「道」が続く展開も、観客の心を震わせたことだろう。
見つめ合いながら歌い始めたATSUSHIとTAKAHIROは、2番では頼もしい歌声に背中を預け、パフォーマーと共にファンへの感謝を歌に乗せる。
今では卒業ソングとして多くの人に愛されているこの曲が、今日は大切な仲間の門出を祝う楽曲として響いていた。

 

メインのMCタイムでは、事前のインタビューでも
「名古屋公演のMCでファンの方と一緒に48000人と一本締めをしたあと、鳴り止まない拍手をいただいたのは本当に一生忘れられない思い出になりました。
コロナで歓声が聞けないので、ファンの皆さんのクラップ音は心に響きました」
と語っていた黒木啓司の「みなさんの幸せを願って……」という掛け声を合図に、温かなワンクラップ(一本締め)が響き渡った。
名残惜しそうに、アーティストとして過ごした17年間への感謝を何度も叫ぶ姿が、ツアー中、何度も「引退しないよね?」と茶化していたTAKAHIROの涙さえも誘う。
ファンのあたたかな眼差しを全身に浴びながら、黒木啓司は最後に
「二代目 J SOUL BROTHERS/EXILE THE SECONDとアーティスト人生17年間、そしてEXILEでの14年間、たくさんの思い出をファンの皆さんと一緒に作り、人生を共に歩めた時間は大切な宝物です。
本当にあたたかい応援をありがとうございました」
と最後の挨拶をした。

 

その一方で、アンコール前には、12月にツアーの続編ともいえる『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” Christmas Special』を開催すること、EXILEのオリジナルメンバーである松本利夫(MATSU)・ÜSA・MAKIDAIが参加することが発表され、客席からは悲鳴にも似た歓声が。
このサプライズ発表に対し、ATSUSHIは
「この業界に残る人間として、LDHの人間として、やらない理由がありませんでした。今年いっぱいもう少しだけ、みなさんと一緒に夢を見させてください」と涙ながらに語り、「とにかくEXILEというグループの、表現のあたたかさとかファンタジー感、夢を広げていくような希望に溢れた感じを、クリスマスソングや冬の曲などを交えながら、今年最後の締めくくりとしてみなさんと一緒に過ごすことができたらいいなと思います」とコメント。
TAKAHIROも「ようやく皆さんと、クリスマスシーズンを直接同じ空間で共有できることが本当に楽しみです。冬のワクワク感をEXILEのエンタテインメントを通して全身で感じていただける内容にしたいと思います」と前向きなメッセージを寄せた。

 

そして、明るい未来を見据えながら届けるラストナンバーは「Choo Choo TRAIN」。
MATSUが発明したという“回転前のポップ”を受け継いだ黒木啓司を先頭に、全員でロールダンスを踊ったEXILEは、15人で駆け抜けた青春の日々にピリオドを打ち、新たな一歩を踏み出したのだった。