「ロッテ6-0オリックス」(10日、ZOZOマリンスタジアム)

ロッテ・佐々木朗希投手がNPB史上28年ぶり、21世紀では初めての完全試合を達成した。
64年ぶりにプロ野球記録を更新する13者連続奪三振の新記録を樹立し、1試合19奪三振のプロ野球タイ記録をマークした。

 

なぜ、これほどまでの大偉業を達成できたのか。

 

最速164キロの直球を軸に、フォーク、スライダーで圧倒。
制球も安定し、七回に先頭後藤へ初球から3ボールにしたところだけが、危ない場面だった。
井口監督は「ファウルを打たせてカウントを追い込む、一回から九回まで徹底してできた」と、制球力を一因に挙げた。

 

佐々木朗は試合後、完全試合について「正直、あまり意識してなかった。打たれたらそれでいいと思い、松川を信じて投げました」と精神面でもぶれることなく、女房役のリード通りに投げ続けたという。
20歳5カ月、18歳6カ月のヤングバッテリーが無欲でアウトを追ったことも一因だろう。

 

女房役として快挙を支えた高卒ドラフト1位の松川。
試合後、その要因について「本当にどんどんストライクを取って、バッターのテンポも良く、バッターに考える時間がなかったことがすごくよかった」と振り返った。

 

強打者の吉田正を3三振。
快挙を引き寄せたポイントとして、四回を挙げた。
初球、2球目とカーブでタイミングを外して見逃し、空振りで追い込んだ場面。
松川は「正尚さんのカーブを2球続けたところが本当に分岐点だったと思うし、正尚さんの思ったところじゃなかったと思うので、そういう部分ですごくカーブでストライク取りましたし、その後のフォークが生きたかなと思います」と語った。
カーブ2球連投は松川のサインで、佐々木朗も迷わずうなずいた。裏をかく好リードもはまった。

 

吉田正も、試合後にこの四回の打席について言及している。
「今日は完全にやられました。(バットとの)接点がなかった。
直球も対策しましたけど、最後はフォーク待ちで真っすぐに手が出なかった。
真っすぐを待つと、フォークがストンと消える。
2打席目がカーブが2球続いたんですけど、あそこが唯一のチャンスだったかなと思います。
真っすぐとフォークは腕の振りでもわからなかったですし、なんせコントロールが良かったです」。

 

今季1三振だった球界を代表するスラッガーも脱帽するしかなかった。

 

14連続三振を阻止する中飛を放つのが精一杯だった紅林は「真っ直ぐだけ、手からボールが離れる前に振るぐらいのイメージだったんですけど、詰まった」と証言。
自身初めてという3連続三振の福田も「球も速かったですし、フォークボールもやっぱり反応だけで打てるようなフォークじゃなかったので、僕の中では」と、球種を割り切っても対応できなかったことを明かした。

 

105球のうち、160キロ超えが34球。
ストライク率は驚異の78%のデータが示すように制球力も抜群だった。
オリックスにとってはチャンスを見つけることすら困難な一日だった。