芸能界の性被害の実態が次々と明らかになっている。
3月上旬、『週刊文春』で映画監督で俳優の榊英雄(51才)が、複数の女優から「性行為を強要された」と告発されると、3月下旬には再び同誌で俳優の木下ほうか(58才)が、複数の女優に性的な行為を無理やり行っていたと報じられた。
さらに4日には、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』などの作品で知られる園子温監督(60才)から性被害を受けたという女優の告発が『週刊女性』で報じられた。
報道を受け、4月に公開予定だった榊の作品は公開中止に。
木下は報道を概ね事実だと認め、無期限活動休止を発表。
園の映像製作会社「シオンプロダクション」は4月1日、何の件についてかは触れていないものの
《関係者各位の皆様にご迷惑とご心配をおかけしてしまい、心よりお詫び申し上げます。事実関係を整理して、改めて発表いたします》
と、コメントを発表している。
多方面の関係者からセクハラは事実だという旨の証言が相次いでおり、説明が求められる状況にある。
芸能事務所関係者は、3人とも今後の活動は難しくなると語る。
「性被害の実態がここまで報じられたことで、映画界には『そんな状況を放置してきた業界にも責任がある』との強い批判が寄せられています。
これをウヤムヤにすれば、映画業界が取り返しのつかないことになる。
告発された人物は事実上の“追放”になる可能性も高いです。
万が一、榊や園が再びメガホンを取ることがあったとしても、事務所が女優を出すのをOKするでしょうか。
彼らの作品に出れば、『枕営業で役をもらった』などと言われかねませんし、作品とは関係のない質問をメディアからぶつけられる可能性もある。
何かと色眼鏡で見られることになり、イメージ的に損をするからです」(芸能事務所関係者)
芸能界には前述の3人以外にも、性スキャンダルを起こしたタレントは少なくない。
不倫騒動から事件になったケースまで、さまざまだが、アンジャッシュ渡部建(49才)、極楽とんぼ山本圭壱(54才)、高畑裕太(28才)、小出恵介(38才)らは、長期の活動休止を経て復帰したもののいずれも騒動前よりも大幅に露出を減らしている。
違法薬物で逮捕された芸能人の中には、あっさりと仕事に復帰する例もあるが、性スキャンダルの場合はなぜ復帰が容易でないのか。
ベテラン芸能記者の石田春男氏は、こう分析する。
「いささか乱暴な理屈ですが、違法薬物には明確な被害者が存在しないのは大きいでしょう。
罪状によっては実刑を食うこともある重大犯罪なのに、『プレッシャーから逃れたかった』『人気が落ちて辛かった』『疲れが吹っ飛ぶと言われて…』といった言い訳が同情を買うケースさえあります。
しかし性スキャンダルの場合、被害者がいるケースがある。
その場合、たとえ罪を償ったとしても、被害者のトラウマは一生消えないわけで、世間から同情されたり理解されたりする余地はゼロ。
いくら『深く反省しています』と言い訳しても、他人の尊厳を踏みにじる行為をした人間を許すほど世間は甘くありません。
もう1つ大きいのがスポンサーの存在。
スポンサーは、性スキャンダルを起こした人間を使うことは到底許容できないでしょう。
近年は視聴者の目が極めて厳しくなっており、問題を起こした芸能人を起用すると、当該人物のみならず制作関係者にも火の粉が降りかかり、さらにスポンサーにもクレームが行きます。
そもそも芸能界で活躍したいと願う人間など山ほどいるのに、わざわざリスクがある人間を使う理由はありません。
性加害の告発がこれだけ続くなかで、そうしたムードは一層強まっています」(石田氏)
現時点で告発の対象になっているのは映画界の人間ばかりだが、テレビ局や音楽業界でも似たようなことをやってきた人物がいるとの証言も出てきている。
海の向こうでは「#Me Too」が大きなうねりとなったが、日本の芸能界も数年遅れでその動きが本格化することになりそうだ。