「性被害」を題材にした映画「蜜月」。
「週刊文春」では3月10日発売号、同17日発売号で同作の榊英雄監督(51)に「性行為を強要された」と語る女優(A子さん~G子さんまでの計7人)などの告発を報じ、3月25日から公開予定だった「蜜月」は公開中止に至った。

 

3月18日には、是枝裕和氏や西川美和氏など著名監督が「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」との声明を発表した。
女優たちの告発が、芸能界にはびこる性加害の実態を明るみに出しつつある。 

 

今回、2人の女優が、新たな俳優による性加害を「週刊文春」に告発した。

 

その俳優は木下ほうか(58)。

 

木下は大阪府出身で高校時代から自主映画制作にのめり込み、16歳のとき井筒和幸監督の「ガキ帝国」で俳優デビュー。
大阪芸術大在学中に自らの劇団を立ち上げた。

その後、吉本新喜劇に約3年在籍したが島田紳助から「役者をやりたいなら東京に行くべきやろ」とアドバイスされ上京。

3月21日にレギュラー放送最終回を迎えた「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ)では「イヤミ課長」役で人気を博し、「はい、論破」という決め台詞は2015年の新語・流行語大賞にもノミネートされた。

NHKの朝ドラ「なつぞら」(2019年)や大河ドラマ「麒麟が来る」(2020年)にも出演し、4月5日から放送開始のNHKの連続ドラマ「正直不動産」では主演の山下智久の上司役を務める名脇役だ。

 

実は木下と榊氏の関係は極めて深い。
榊監督作品に木下は7作出演しており、映画やドラマでの俳優同士としての共演は12作にも及ぶ。

「プライベートでも親交がある盟友です。
木下のブログには榊の娘を抱く様子や〈榊の指導演出は的確で厳しく、好感が持てた!〉と称賛する記述もある。
木下は“榊組”の一員なんです」(映画関係者)

 

今回、詳細な証言と共に「性被害」を告発したH子さん、I子さんという2人の女優は、いずれも木下から性行為を求められ、応じざるを得なかったと語った。

 

H子さんは演技指導の名目で木下の自宅に呼び出された。
最初は2人で台本読みをしていたが、「なんでできへんねん」と木下に叱られるうち、H子さんは悔しくて泣き出してしまったという。

すると、木下は一転、慰めるような優しい声音で「もういいから。こっち来いや」と寝室に連れていった。
そこで木下は自分のパンツを下ろすと、H子さんの顔先に性器を突き出した。

「なし崩し的に口での行為を迫られました。抵抗したらもっと酷いことをされるかもしれない。
要求に応えて済ませた方が安全だと思ってしまった。
『早くこの時間が終われ』と頭の中で繰り返していました」(H子さん)

 

もう1人の女優I子さんは、ある日、木下から無理やりキスされそうになり、それを拒むと、後日、こんな旨のメールが来たという。

「期待して、これから育ててあげようと思っていたのに残念です。
失望しました。あなたの根性はこのくらいなのですね」

 

後日、木下の自宅で性行為に至ったという。

「私とは親子ほど歳が離れていますし、気持ち悪かった。
でも力では到底勝てないし、顔が広いので、拒んだら悪い噂を流されるかもしれない。
『みんなやってる』『これを断るようなメンタリティじゃこの世界でやっていけない』と言われて洗脳されたというか、断れなかった。
なんで役者として演技をしたいだけなのに、いつも性行為の話が出てくるんだろうって……」(I子さん)

 

木下の所属事務所「カクタス」には3月20日の午後4時にFAXとメールで取材を申し込み、同社の社長にも取材申し込みの手紙を届けた。
同日から、木下本人の携帯などにも再三取材を申し込んだが、22日の夜9時現在、回答は届いていない。

 

ただ、関係者によると、木下の出演番組を巡り降板を含めた対応が協議されているという。