東京都知事や国会議員を務めた作家の石原慎太郎(いしはら・しんたろう)さんが1日午前、東京都内の自宅で死去した。
89歳。

 

葬儀・告別式は家族葬で営まれ、後日送る会を開催する。
長男で元衆議院議員の石原伸晃氏(64)、次男で俳優の石原良純(60)ら兄弟4人が慎太郎さんの自宅前で会見し、晩年に膵臓(すいぞう)がんを患い、昨年10月に再発していたことを明かした。
関係者によると入院はせず、自宅で療養していたという。          

 

作家から政治家に鮮やかな転身を遂げ、時に破天荒な言動でも注目を集めた石原氏が旅立った。

 

偉大な父に、石原四兄弟は感服するしかなかった。
長男の伸晃氏は、慎太郎さんが膵臓がんだったと明かし「本当によく闘い、よく頑張ったんでございますが、昨年の10月に再発しまして本日に至った」と父の頑張りをたたえた。

 

兄弟の中で唯一、父を看取った四男の延啓氏(55)は、1日朝に「今までと様子が違う」と連絡を受け駆けつけたが、声をかけても反応がない状態だったという。
しばらくして荒い呼吸が収まり「本当にあっという間に息を引き取った」と最期の様子を伝えた。
「がんは痛いと聞いて怖がっていた。安らかに息を引き取ったので、息子としてはこれで良かったのかなと思います」と言葉を紡いだ。

 

亡くなる直前まで執筆活動に執念を燃やしていた。
伸晃氏によると、年末に短編小説をとりまとめた上下巻の本が完成。
「これが俺の遺作だな」と喜びつつも「その後も執筆活動を先週まで続けていた」と明かし、今後出版される3冊の存在を発表。
「政治家としても長い父ではありますが最後まで作家として仕事をやりとげました」と生涯現役を貫いた父に頭を下げた。

 

脳梗塞を患い、利き手の左手の自由を失って以降にワープロを習得。
次男の良純は「体が動かなくなってもワープロに向かって文字を打ち続けていた姿はまさに文学者。その分、家庭人、父親としてはかなりユニークな人」と述懐。
「一つの時代を築いた人でありますから、ボクらも頑張っていかなければならないと思います」と決意を口にした。

 

三男で衆議院議員の宏高氏(57)は「なかなか到達できないですけれども、目指すべき政治家の先輩でありました」と尊敬の念を表した。

 

慎太郎さんの「石原ファミリー」への肩入れは時に際立ち、都知事時代には都の文化事業に画家の四男を登用するなど「都政の私物化」と批判も浴びたこともあった。

 

4人の息子は父を追うように政治家や俳優などとして活躍。
政治家とは作家とは何かを息子4人に背中で見せ、89年の人生に幕を下ろした。