日本の飲食チェーンを「ポテトショック」が襲っている。

 

日本マクドナルド(東京都新宿区)は2021年12月21日、北米からの原材料輸入の遅延を理由に「マックフライポテト」のM・Lサイズを年末に販売休止すると発表。
ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」も、コンテナ不足による原材料輸入の遅れから一部店舗でポテトの販売を見合わせる。

 

一方で、ハワイアンレストラン「Eggs ‘n Things」(エッグスンシングス)は、料理の付け合わせのポテトを選択制に変更する。
運営会社は「今後の新メニュー開発に活かせる」と前向きな姿勢を見せている。

 

「どうしよう…」
「これはかつてない大事件だ」

 

21年12月21日のマクドナルドの発表を受け、ツイッター上では驚きや悲しみの声が広がった。
販売休止するのは「マックフライポテト」のM・Lサイズ。
休止期間は12月24日~30日と、クリスマス・年末シーズンを直撃している。
期間中、利用者はセットメニューを含めSサイズのポテトしか注文できない。

 

北米から原材料を輸入している同社だが、カナダ・バンクーバー港近郊での大規模な水害と「コロナ禍が与える世界的な物流網への影響」により輸入の遅延が発生。
原材料の安定調達が難しくなっている。
M・Lサイズの販売休止は「今後も多くのお客様に途切れることなく召し上がっていただくため」としている。

 

「ポテトショック」に見舞われている飲食チェーンは、マクドナルドだけではない。

アレフ(札幌市)が運営する「びっくりドンキー」では、12月24日から1月12日まで一部店舗で「びっくりフライドポテト」「スパイシーポテト」「チーズソースポテト」「ザンギ&ポテト」「キッズポテト」の5商品が販売休止となり、選択制のセットメニュー「ドンキー満喫セット」で「びっくりフライドポテト」が選べなくなる。

実施するのは全340店舗中132店舗。
対象店舗では24日から張り紙で、客に販売休止を知らせる。
23日、アレフの広報担当者に取材すると、コロナ禍の「コンテナ不足」による原料輸入の遅れが販売休止の原因だとした。

 

10月には日本ケンタッキー・フライド・チキン(横浜市)が、コロナ禍による物流網混乱を理由に一部店舗でポテトの販売を休止していた。

 

「ポテトショック」を受け、メニューの変更に踏み切るチェーンもある。

「弊社、Eggs ‘n Thingsでも1月にいったん既存ポテトをストップせざるを得ない。
しかし、この機会に新メニューの提供を開始します」

21年12月21日、こうツイートしたのは、全国27店舗を展開するハワイアンレストラン「Eggs ‘n Things」を運営する、EGGS ‘N THINGS JAPAN(東京都港区)の松田公太社長。
Eggs ‘n Thingsは、数年前の「パンケーキブーム」の火付け役になったことで知られる。

 

Eggs ‘n Thingsでは「オムレツ」や「エッグスベネディクト」といったメニューの付け合わせで、ゴロゴロとした形が特徴の「グリルポテト」を提供してきた。
23日、同社の広報担当者に取材すると、12月25日頃から一部店舗を除き、メニュー付け合わせのポテトを同社オリジナルのホイップクリームを加えた「マッシュポテト」と、味や食感・形状を変えた新たな「グリルポテト」との選択制に、順次変更していくとした。

 

選択制への変更は1月末頃までを予定するが、利用者の反応や輸入状況を見て延長も検討する。
担当者はメニュー変更について「今回の物流網混乱の影響がきっかけの一つではありましたが、新しい形のポテトを提供することで今後の新メニュー開発に活かせると考えております」と前向きな姿勢を示した。