お笑い芸人で焼肉店の経営者としても知られる、たむらけんじ(48)が“疑惑”のツイートをしたのは6月10日の朝のこと。

 

「いえいえ、打ちたくない方のお気持ちも凄くわかりますよ。
僕は正直ワクチンはインフルエンザでも打ちたくないし、実際大人になって打っておりませんでした。
が、今回に限っては自分がしてる仕事はするのが義務だと思ったので打ちました。
打ちたくない方を批判する気持ちは1ミリもございません」

 

このツイート自体は、「すべての人が新型コロナウイルスのワクチンを打ちたいと思っているわけではない」という他人のツイートに反論するものだったが、結果として多くの疑問の声が寄せられることとなった。

「ん?どこで打ったん?」
「たむらさん、もうワクチン接種しはったんですか?」
「高齢者でも医療従事者でもないのにどうやって接種できたのか知りたいです」
「大阪の知人、医療従事者でまだ1回しか接種していない。老人介護施設勤務の知人もまだだと言ってるが、、何故たむけんさんは接種できたのでしょうか、、」

 

たむらは1973年生まれの48歳。
たむらの住む自治体では、ワクチン接種券はまだ送付されてきていないはずだ。
ネットでは「上級国民だ」という批判も出ているが、どうやってワクチンを接種できたのだろうか。
本人に電話で話を聞いた。

 

ーーツイッターを見ましたが、ワクチンを打ったというのは事実でしょうか?

「あまり公言するつもりもなかったので、最初は『打ちたいと思います』とツイートしようとしていたんですが、間違えて『打ちました』と書いてしまいました。
ただ、打ったのは事実です。
1回めの接種が済んでいまして、日程はまだ決まっていませんが2回めも打つ予定です」

 

ーーどこでワクチンを打つことができたのでしょうか?

「電話が殺到したり、関係各所にご迷惑をおかけするので詳細はお話しできませんが、私が裏から手を回したとか、誰かが受けるはずだったものを横取りしたとか、定められたルールに違反したということは一切ないんですよ。
簡単に言えば、廃棄することが決まったワクチンを打ってもらったということです。
ちゃんと調べてもらえればわかると思いますよ」

 

たしかに5月下旬に、厚生労働省が自治体への事務連絡として余剰ワクチンの新たな取り扱い方法を示している。
予約がキャンセルされたなどの理由で余剰になったワクチンについて、接種券を持っていない人にも柔軟に接種できるとする通知を自治体に示したのだ。

 

6月からワクチンの個別接種を始め、これまでに数百人に接種したという「みいクリニック代々木」(東京都渋谷区)の宮田俊男理事長もこう話す。

「たむらさんが不正にワクチンを接種したことは考えづらいですね。
たとえば渋谷区では、高齢者のワクチン接種、とくに1回めの接種については、希望する方の大部分に接種が終わっています。
たむらさんも、おそらく比較的接種が進んでいる地域のキャンセル待ちのリストに登録していたことで、受けることができたのだと思います。
接種が進んでいない地域の方から見ると、たむらさんが何かズルをしたように見えてしまったのかもしれませんね」

 

とはいえ、一般市民からすると、その“キャンセル待ちリスト”にどうすれば登録できるのかもわからないがーー。

「知らない人も多いと思うのですが、かかりつけの医師に相談していただくと、自治体によっては登録することができますよ。
キャンセルが出るかどうかは、当日の午前中までわからないので、私のクリニックでは患者さんに『○曜日なら空いています』と指定してもらっています。
キャンセルが出た場合、まずは高血圧などの基礎疾患のある方を優先し、連絡しています。
優先順位は下がりますが、基礎疾患のない方でも接種するケースはあります」

 

ワクチンを接種できるかは、地域格差、情報格差がモノをいうようだ。