「ムツゴロウ」の愛称で親しまれ、テレビの動物番組で人気を博した作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日、心筋梗塞(こうそく)で死去した。87歳だった。葬儀は家族で営む予定。

 

1935年に福岡市で生まれ、旧満州で幼少期を過ごした。

 

54年に東京大学に入学し、理学部生物学科で学んだ。
大学院を経て学習研究社に入り、動物の記録映画の製作に取り組んだ。

 

68年に退社すると、作家活動を本格化させ、「われら動物みな兄弟」で同年の日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。

 

71年に北海道浜中町の無人島・嶮暮帰(けんぼっき)島に家族で移り住み、翌年には「ムツゴロウ動物王国」を対岸に開いた。
「ムツゴロウの青春記」「ムツゴロウの動物交際術」など多くの著書をあらわし、77年には菊池寛賞を受けた。

 

80年にフジテレビ系列で「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」の放映がスタート。
畑さんと動物たちとのふれあいが人気を博し、20年以上続く長寿番組となった。
86年に公開され、大ヒットした映画「子猫物語」では監督を務めた。

 

2020年からはユーチューブにチャンネルを開設し、自身の半生や動物との思い出話を発信していた。

 

11年の朝日新聞記事では、最近の子どもたちに思うこととして「命あるものとの交流が減っている」と指摘。

 

「学校でカエルの解剖さえしなくなっている。
『命を殺すから』というんですが、それは科学でもなんでもありません。
生きていくにあたり、生き物に体ごとぶつかるというのはとても大切なことです」
と語っていた。

 

17年7月の取材では
「動物とベタベタしているだけじゃないか、と批判されることもあります。
でも僕は、ベタベタするところから何かを見つけようとしてきました。
人間を捨てて一歩でも動物に近づきたいという気持ちでした」
と話していた。