バンクーバー五輪のフィギュアスケート男子日本代表でプロスケーターの織田信成(35)が11月1日、現役復帰することを発表した。
11月中旬の国体予選に出場するために9月にスケート連盟に復帰届を提出したという。
他の競技よりも選手のピークが低年齢化していることが指摘されるフィギュアスケート界で、約9年ぶりに35歳で復帰という偉業を果たそうというのだ。
フィギュアスケート男子では、織田と同世代の“レジェンド”高橋大輔(36)も現役復帰、アイスダンスに転向している。
10月28日の「フィギュアスケート・デニステンメモリアル」では高橋と村元哉中(29)のペアが国際スケート連盟公認の国際大会で初優勝を果たしたところだ。
2013年の全日本選手権後に引退を発表した織田は、フィギュアスケートの解説者や関西大学アイススケート部監督を務めながら、タレントとしても活動してきた。スポーツライターはこう語る。
「織田の現役時代は本番でのトホホなミスが多く、それが憎めないキャラとして愛されましたが、引退後のほうが伝説を作ったという希有な選手。
2016年にプロアマ混合のジャパンオープンで4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプを成功させ、非公認ながら現役時代のパーソナルベストを超える得点を出して『あの涙の引退は何だったのか』と喜んで笑いを誘いました。
2017年の同大会でも4回転を2本成功させ、2018年には4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプに高難度の3回転アクセルなどを披露し、非公認ながらそのシーズンで世界3位相当スコアの圧巻の演技を見せた。
ファンから“猫足着氷”と比喩される膝の柔らかさを活かしたジャンプの美しさは衰える気配がなく、現役時代を知らなかった若いフィギュアスケートファンの間でも織田のスケート動画は人気が高いんです。
10月13日にツイッターで〈2019年の7月ぶりに4回転跳べた〉と明かしていましたが、まさか本当に現役復帰するとは思ってもいませんでした」
絶大な人気を集める羽生結弦(27)が7月19日にプロ転向を表明した際、織田はインスタグラムで〈僕もとりあえず-5kg目指して、4回転もあと2種練習するね。〉(7月20日)と宣言していた。
羽生と入れ替わる形で現役復帰する織田は、来年1月に青森で開幕する冬季国体出場を目指して減量や練習に励んでいるという。
前出のスポーツライターが語る。
「織田の復帰にはスケート関係者も仰天しましたが、シングルとなると国体を目標とするのは妥当なライン。
羽生結弦のプロ転向もあって一時期ほどの盛り上がりに欠けるフィギュア業界ですから、織田が出るとなるとテレビやマスコミも集まりますし、タレント性も抜群の織田ですから会場を沸かせる見せ場も必ず作ってくれるでしょう。
さすがに国内最高峰の全日本選手権に出るつもりは今のところないようですが、予想を超える力を発揮してくるタイプですから、もしかしたら、もしかするかもしれないという期待もあります。
次の冬季五輪(ミラノ・コルティナダンペッツォ)は2026年とまだ先ではありますが、若手選手にはない魅力で代表争いに加わる可能性はありますよ」
現役選手として号泣する姿が、再び見られるかもしれない。