東京地検特捜部は14日、出版大手・KADOKAWAの会長である角川歴彦容疑者を逮捕した。
東京五輪・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる贈収賄事件で逮捕された大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者に対し、大会スポンサーの選定で有利な取り計らいを受けた謝礼などとして、総額6900万円の賄賂を提供していた贈賄の疑いが持たれている。
今回の事件で、スポンサー企業の経営トップが逮捕されたのは、紳士服大手AOKIホールディングスに続き2社目。
また、今回の贈賄事件をめぐっては、KADOKAWAの幹部2人がすでに逮捕されており、これでKADOKAWA側の逮捕者は3人目となった。
「逮捕される前の会見では容疑を真っ向から否定していた角川容疑者だが、結局、逮捕されることになってしまった。
角川容疑者は逮捕後の取り調べに対し、『賄賂なんかあげていない』と供述。
容疑を否認しているというだけに、さらに厳しい取り調べを受けることになりそうだ」(全国紙社会部記者)
同社といえば、出版のみならず、映画の製作・配給も手がけている。
直近では、今月16日に松山ケンイチ主演の『川っぺりムコリッタ』(荻上直子監督)、30日に永野芽郁主演の『マイ・ブロークン・マリコ』(タナダユキ監督)、10月28日には小芝風花主演の『貞子DX』(木村ひさし監督)が公開を控えている。
「すでに、公開決定作品のPRイベントなどについては日程や予算が組まれているが、同社の作品に関わった各芸能事務所の間では、『ちゃんと公開されるのか』と動揺が広がっている。
永野は映画賞に絡みそうで、『貞子DX』はホラーファン待望の作品で観客動員が期待できる。
角川容疑者は主に『製作総指揮』として名を連ねているだけなので、出資先の企業があわてて出資から手を引いたりしない限りは、特にダメージはなさそうだ」(映画業界関係者)
とはいえ、まだ公開が決定していないが同社が製作・配給を手がけている作品には少なからず影響が出そうで、中でも、北野武監督の最新作で西島秀俊が主演を務める『首』はこのままお蔵入りになってしまう可能性がさらに高まってしまったようだ。
「同作については、週刊誌でも報じられたとおり、KADOKAWAと契約面でトラブルの真っ只中。
北野監督サイドは否定しているものの、KADOKAWAがNetflixに動画配信の権利を売ることで製作費を賄おうとしたところ、それを知った北野監督サイドがKADOKAWAへ金銭を要求したため、両者の折り合いが付かずに公開時期が未定となってしまっていることが報じられた。
一方で北野監督は、映画の編集作業に入っていたにもかかわらずKADOKAWAがちゃんと契約を結んでくれないため、編集作業を止めたと主張。
言い分は異なりますが、契約をめぐってぶつかっていることは確かな様子。
Netflixが間に入れば公開にこぎ着けることができそうだが、角川容疑者の逮捕を受け、コンプライアンスを重視するNetflixが出資を引き上げてしまう可能性もある。
そうなったら、KADOKAWAの資本だけで公開にこぎ着けるのは不可能だろう」(芸能記者)
Netflixも今後いろいろ計算したうえで、同作への出資を検討することになりそうだ。