アイドルグループ・AKB48の1期生・峯岸みなみ(28)の卒業コンサート『~桜の咲かない春はない~』が22日、神奈川・ぴあアリーナMMで行われた。

 

当初は昨年4月2日に横浜アリーナで開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期を余儀なくされ、1年越しに会場を変えて開催。
最後の1期生として、2005年12月8日の劇場デビューから歴代メンバー最長15年半におよぶ活動の集大成をみせ、大粒の涙が頬をつたった。

 

28日にAKB48劇場での卒業公演を控えているものの、コンサートはこれが最後。
新型コロナウイルスの感染防止対策を行ったうえで5000人を動員し、同時配信も行われたコンサートは、峯岸のソロ曲「私は私」をワンフレーズ歌って幕を開けた。
続けて、峯岸がキャプテンを務めていた時代の峯岸チーム4のメンバーとライブ鉄板曲「清純フィロソフィー」「LOVE修行」へ。
小嶋真子や西野未姫といった峯岸チルドレンの卒業生も駆けつけ、ファンはペンライトを激しく振った。

 

中盤にさしかかると、同期のOG・高橋みなみ、小嶋陽菜を皮切りに、2期生の秋元才加、宮澤佐江、河西智美、元HKT48の指原莉乃、元NGT48の北原里英らが次々と登場。
久々にたかみなの掛け声から始まる「RIVER」に沸き、「上からマリコ」のイントロでは篠田麻里子が登場し、峯岸と抱き合った。

 

続く「ポニーテールとシュシュ」では第1子妊娠を発表したばかりの板野友美が髪をポニーテールにして歌い、「ベビちゃんも踊っていました」とおなかに手を当てて幸せオーラ全開。
前田敦子は舞台のゲネプロで出演できなかったものの、映像コメントを寄せ、「16年間AKB48を引っ張ってくれてありがとう」と峯岸に感謝を伝えた。

 

「ヘビーローテーション」はゲストなしかとフェイントをかけたところで、大島優子が登場し、現役時代と変わらぬ元気いっぱいのパフォーマンスをみせた。
大島は「(3曲目の)『LOVE修行見てくれた?』と謎の言葉を残してステージを後にすると、会場にはVTRが流れ、後輩メンバーにまぎれて「LOVE修行」を踊っていたことが明らかに。
ファンも全く気づいていなかったシークレット出演で、相変わらず旺盛なサービス精神でファンを喜ばせ、峯岸は「優子、頼んでないのに『LOVE修行』に出てくれてありがとう」と感謝した。

 

アンコールの卒業セレモニーでは峯岸が、卒業ドレスに身を包んだ峯岸がスピーチ。
「AKB48に私が必要だったかはわからないけど、私の人生にはAKB48が必要だったんだとこのステージ立って改めて思いました」と話すと、会場は拍手に包まれた。
そして、「このドレスは、このステージは、あのとき辞めていたら私のものではなかったと思ったら、どんなことがあっても、卒業の覚悟を決めるのをここまで待ってよかったなと本当に思います」と涙まじりにかみしめるように語った。

 

【スピーチ全文】

皆さん、今日はいろんな都合をつけて、いろんな心配もあるなかでこうやって私の卒業コンサートに足を運んでくださって、本当に、本当に、ありがとうございます。

中学1年生、13歳のときにAKB48に加入して、皆さんも知ってのとおり、私の15年のアイドル人生はとても順風満帆とは言えませんでした。

みんなに元気を与えたりとか、笑顔を与えたりとか、そういう存在のはずなのに、応援してくれている人を悲しませちゃったりとか、傷つけちゃったときもあったなと思うし、自分のまいた種でいろんな意見を浴びたりとか、そういう期間がすごくたくさんあったんですけど、でも、今思うと、AKB48に入って、全く、後悔をしていない自分がいます。

むしろ、AKB48に私が必要だったかはちょっとわからないけど、私の人生にはどうしてもAKB48が必要だったんだなと、きょうこのステージに立って改めて思いました。

結構つらいこともあったりしたのに、なんでこんなに楽しくて、こんなに幸せなことばっかり頭に浮かぶんだろうって思ったら、きょうこのコンサートの最中に答えは見えていて、私がどんなにだめでも、どんなに落ちていこうとも『頑張ろう』って、手を引っ張ってくれたたくさんのメンバーたちに支えられてきました。

たくさんのメンバーの卒業の中で、自分は一人ぼっちになっちゃうんじゃないかなって、いつまでAKB48にいていいのかなと思うこともあったんですけど、でもこうして一緒にステージに立ってくれる現役メンバーとか、たくさんの後輩たちにもいっぱい甘えて、いっぱい助けてもらって、本当に最後まで楽しいAKB48生活を送らせてもらうことができました。

そして、たくさんのスタッフさんたちにも、いっぱい甘やかしてもらっちゃいました。
このドレスは、このステージは、あのとき辞めていたら、絶対に私のものではなかったと思ったら…(涙)、どんなことがあっても、自分が“ここだ”というときまで卒業を先延ばして、卒業の覚悟を決めるのをここまで待ってよかったなって、本当に思います。

そして、何より、この会場に来てくださっているファンの皆様、配信でこのライブをご覧になってくださっている皆様、こんな私をアイドルにしてくれて本当にありがとうございます。私がここまで続けてこれたのは、ファンの皆様の声援、励まし、このサイリウムの光だったり、たくさんたくさん与えてもらって、1日1日アイドルの寿命を延ばしてきました。本当にファンの皆様のおかげで、今の私があると思っています。

ここまでたどりつくのに私は15年かかってしまったんですけど、今、在籍しているみんなには、卒業するときにこんな気持ちで卒業してほしいなって思います。
だからこそ、これからも、私が言うことじゃないかもしれないんですけど、このステージに残るメンバーを、AKB48を、ずっと一番のアイドルグルーブでいさせてください。皆さんの力が必要です。これからもAKB48をよろしくお願いします。

今、私は、なんか今までにないくらい自分のことを好きでいられて、そんな自分を、きょうたくさんの人に見てもらえて、すごく、すごくすごくうれしいなと思うんですけど、私には自分のことを好きになれなかった時期に、秋元先生からもらった大切な歌があって、『なんでこんなに私の気持ちがわかるんだろう』って、最初曲をもらったときにびっくりしちゃったくらい、自分に当てはまる曲なんですけど、今日の私が過去の、自分のことが嫌いだった私に向けて、そして、あのときの私と同じように、悩んだり迷ったりしている、多分、裏で聞いてくれているのかなって思う後輩たちに向けて、そして、毎日大変だし、イヤなことばっかり、暗い世の中で、イヤんなっちゃうなって思っている皆さんのために、きょうはこの曲を、心を込めて歌わせていただきたいと思います。聞いてください。「私は私」。

 

クライマックスはAKB48始まりの曲、「桜の花びらたち」。
ここまで登場していなかった1期生の宇佐美友紀、浦野一美、大江朝美、大島麻衣、折井あゆみ、川崎希、駒谷仁美、戸島花、成田梨紗、平嶋夏海、加弥乃、渡辺志穂も続々登場し、卒業生たちが代わる代わる峯岸を囲んで歌うと、峯岸は堪えきれずに熱い涙をぬぐった。

 

卒業生を代表し、初期にリーダー的な役割をしていた1期生の折井あゆみが峯岸にメッセージ。
「みぃちゃん卒業おめでとう!とってもきれいだよ! 私たち1期生が最後に残したメンバー峯岸みなみを迎えに来ました」と語りかけると、峯岸は万感の思いを込めて「待たせたね」と笑顔をみせた。

 

峯岸は2005年、『AKB48オープニングメンバーオーディション』に合格し、同年12月8日に1期生としてAKB48劇場で初公演。
13年1月、『週刊文春』に恋愛スキャンダルが報じられたときには、丸刈りにして謝罪した動画をYouTubeで公開し波紋を広げた。
研究生降格から出直しを図り、同年8月、正規メンバー復帰とともにチーム4キャプテンに就任してからは後輩の育成に尽力。
1期生の妹的存在だったが、今では後輩たちに慕われるお姉さん的存在となった。
今月28日に東京・秋葉原のAKB48劇場で行われる卒業公演をもって15年半の活動にピリオドを打つ。