TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」など名脇役として活躍した女優の野村昭子(のむら・あきこ、本名・増見昭子=ますみ・あきこ)さんが死去したことが2日、分かった。95歳だった。

 

1日に都内の自宅で倒れているのを親族が発見し、死亡が確認された。

 

東京都生まれの野村さんは、薬剤師として病院に勤務していたが、演劇に魅了され、1949年に俳優座養成所の1期生に。
52年の卒業して俳優座に所属すると、黒澤明監督の映画「赤ひげ」(65年)やNHK連続テレビ小説「おはなはん」(66年)の細倉とく役で鮮烈な印象を残した。

 

テレビ朝日系「家政婦は見た!」シリーズでは、市原悦子さん(19年死去)が演じた主人公の家政婦が所属する家政婦紹介所の所長役でおなじみに。「渡る世間―」では小料理屋「おかくら」を手伝う青山タキ役を好演した。
庶民的な演技と存在感でお茶の間に親しまれ、2011年には放送文化に貢献した人に贈られる橋田賞の特別賞を受賞した。

 

プライベートでは演出家の増見利清さんと結婚したが、2001年に死別。
18年には愛犬も天国へ旅だったが、19年にはテレビ朝日系「徹子の部屋」に出演し、元気な姿を見せていた。

 

最近は都内の自宅に独り暮らししていた。
近隣住民によると、1週間ほど前、野村さんが買い物に行くために普段と変わらない様子で歩いていたのが目撃されていた。
住民の1人は「ここ数日見かけなかった。1日の夜に自宅に救急車が止まっていて心配していた」と話した。