まさに「溺愛」だった。
母親は、アイドルの息子のライブでペンライトを振り、ドラマの撮影現場にまで押しかけた。
「子供は私のすべて」と公言して憚らず、テレビで何度も母子密着をアピールした。
だが、息子が選んだのは、「母親と親子の縁を切ること」だった──。

 

2004年に当時の民主党から参院選に出馬して当選し、数少ない女性議員として脚光を浴びてきた蓮舫参議院議員(54才)。
彼女は1997年に双子を出産しており、双子の姉とともにたっぷり愛情を注がれて育ったのが長男の村田琳(24才)だ。

 

母親と同じく幼稚園から青山学院に通い、高校はイギリスに留学した琳は、身長175cmのイケメンに育ち、「VOYZ BOY」という40人以上の男性アイドルグループのメンバーとして活動。
2019年7月には大泉洋主演のドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)で俳優デビューも果たしている。

 

蓮舫氏は、琳が出演するライブに足を運び、熱心にペンライトを振る姿がよく目撃された。
彼の出た番組はすべて録画してあり、アポなしで撮影現場に現れてスタッフを仰天させたことも。
2年前に琳さんが家を出てからは掃除や洗濯をするために週に一度は部屋に押しかけ、甲斐甲斐しく世話を焼いていたという。
ところが、目に入れても痛くないほど溺愛した長男が予想外の造反劇を起こした。
永田町関係者が明かす。

「実は蓮舫さんの長男が、彼女の“宿敵”である自民党に入党届を出したのです。
まだごく一部の関係者しか知らない話ですが、野党第一党の大物議員の子息が、自民党に入ること自体が異例中の異例。
いったい何が起きているのかと、関係者が騒然となっています」

 

さらに自民党関係者が語る。

「昨年5月、琳さんは自民党の大物フィクサーとして知られる実業家の糸山英太郎氏(79才)と養子縁組をして、本名も齊藤琳から糸山琳に変わったのです。
糸山氏が経営する湘南工科大学に入学し、昨年11月末でアイドルグループから脱退。
学問だけでなく政治から帝王学まであらゆることを糸山氏の下で学んでいます」

 

糸山氏はかつて米フォーブス誌に「総資産4000億円」と報じられた日本有数の資産家で、自身も20年近く自民党の国会議員として活動した。
1996年に政界を引退してからも自民党の有力議員を支援し、東京・三田にそびえたつ地上18階・地下2階の「ザ・イトヤマタワー」にはいまも多くの政治家が出入りする。
莫大な資産を背景に、日本の政界に厳然たる影響力を持ち続ける黒幕的な存在だ。

 

気がつけば、蓮舫氏の周りからは次々と親しい人間が姿を消していた。
2020年8月に夫でジャーナリストの村田信之氏と離婚し、昨年9月には長年、実母・桂子さんや家族と暮らした都内高級住宅地の豪邸を売却した。

「蓮舫さんの父親が輸入業で建てた敷地400平方メートルの大豪邸で『台湾バナナ御殿』と呼ばれました。
蓮舫さんと母親の桂子さんの折り合いが悪く、緩衝材だった村田さんが家を離れたことで、母娘の衝突が激しさを増したという報道もありました。
実際、売却後の2人は別々に暮らしています」(全国紙政治部記者)

 

娘と袂を分かつことになった母は、孫の養子縁組についてどう考えるか。
桂子さんに聞いた。

──蓮舫さんと琳さんは仲違いしていますか。

「いや、そんなことはないですよ」

 

──琳さんは自民党に入党したそうですが。

「ええっ」

 

──琳さんが養子縁組をしたことは聞いていますか。

「え?(絶句する)」

 

──琳さんが別の家の養子に入られたそうですが。

「……。すみません、知りません。それは彼女(蓮舫)に聞いてみてください」

 

──蓮舫さんと琳さんの仲が悪くなったのかと。

「ごめんなさい。私、彼女のことはもう全然関係ないんですよ。だから細かいことはわかりません」

蓮舫氏の元夫で琳の実の父である村田氏は、息子が選んだ養子縁組について、言葉少なにこう答えた。

「えっ……そうなんですか。
私は知りません。
(息子とは)LINEで最近もやりとりしていますが、一切聞いていないし、何もお話しすることはありません」

 

夫と母に続いて、子供まで離れていく。
実は家族の崩壊に、誰よりもショックを受けているのは蓮舫氏だという。

「琳さんが大きくなってからも蓮舫さんの溺愛は収まらず、息子の銀行口座を管理して、少しでも残高が減ると『お金は大丈夫?』と連絡していたほど。
国会で見せる強気な態度とは裏腹に、家庭では息子離れできない脆い母親だったんです。
だから琳さんの養子縁組と自民党入党には、裏切られたような強い衝撃を受けていたようです」(蓮舫氏の知人)

 

皮肉なことに、琳が母から離れたのは、政治家としての蓮舫氏を意識したためだ。

「コロナで政治に目覚めた琳さんは、国会で強い口調で政府を追及する母親を見て『そのやり方は違うのではないか』と疑問を抱き、揚げ足を取るような質問をするのではなく、現実に困っている人を助けるにはどうすべきか考えるようになった。
野党第一党の立憲民主党ですが、彼らは政府と、国民生活をよくするための議論ができていない。
いまの“野党の限界”を蓮舫さんを間近で見てきて感じたのです。

母と違う視点で政治を眺めて保守的な考え方に魅力を感じ、家族を捨てるかたちで糸山さんのもとに走りました。
あの蓮舫さんの息子が養子縁組して自民党に入るなんて、絶縁するほどの覚悟がなければできないはずです」(前出・蓮舫氏の知人)

 

立憲民主党は多様性を重んじる政党とはいえ、血は水よりも濃い。
最愛の息子の決断に蓮舫氏は何を思うのか。
2月末の早朝、犬の散歩で自宅を出た蓮舫氏を直撃したが、立ち止まる犬を引きずるようにして走り出す。
「息子さんのことでお伺いしたい」と声をかけるも完全に無視。
その後、何を聞いても無言を貫いた。

 

後日、蓮舫氏の事務所に糸山氏との蜜月について、琳が糸山氏と養子縁組したことや、彼が将来的に自民党から出馬する可能性について質問状を送ると、こう回答した。

「蓮舫の政治活動に関し、糸山氏から支援を受けている事実はありません。
なお、成人である長男のプライバシーに関わるその他のご質問につきましては、お答えすべき立場にありませんので、回答は差し控えさせていただきます」

 

一方、糸山氏は自身が代表を務める「新日本観光」を通じて「お答えすることは何もございません」とした。
前出の自民党関係者が言う。

「自民党に入党を申し込む際の琳さんの名字は、確かに『齊藤』ではなく『糸山』だったと聞いています。
蓮舫さんの考えはわかりませんが、糸山氏は『たとえ遺産目当てでも構わない』というほど琳さんに惚れ込んでいます。
琳さんにも、自民党の公認を得られるなら、いつかは選挙に出る覚悟がある。だからこそ自分の意思で自民党に入党したのです。

そのとき、陣笠議員や挙手要員になっては意味がない。
糸山氏は自由な政治活動をしてもらうためなら、いくらでも自分の財産を活用してほしいと考えているといいます」

 

今年4月の誕生日に25才を迎える琳は、衆議院の被選挙権を得ることになる。
いまはまだ学生の身だが、何年かのちに「糸山琳」として自民党の目玉候補になる可能性も大いにあるという。
近い将来、与野党に分かれた前代未聞の「母子対決」が実現する日が来るかもしれない。