「センターは5期生です」

 

お正月気分もさめやらぬ1月初頭のある日、乃木坂46のメンバーは3月23日に発売される29枚目のシングル「Actually…」の選抜発表を受けていた。
乃木坂46合同会社代表・今野義雄がメンバーに伝えたのは、センターを務めるのが2月1日に加入する予定の5期生メンバーという事実だった。

 

デビューから11年目を迎えた乃木坂46の新センターに選ばれたのは、5期生・中西アルノ(18)。
グループ史上最速でセンターに抜擢され、乃木坂46の新しい時代が幕を開けるかと思いきや、新センター中西の周りでは「パパ活疑惑」などが噴出し、ファンの間で炎上は収まる気配がない。

 

乃木坂46の5期生オーディションが始まったのは、2021年7月。
そして2022年2月1日に、応募総数8万7852人の中から、11名のメンバーが加入すると発表された。

 

新メンバーたちは2月23日の「乃木坂46 5期生お見立て会」で初めてファンの前に立った。
そして同日の「乃木坂46時間TV」のスペシャルライブ内で、新シングルで中西がセンターを務めることが正式に発表され、新曲を披露した。

「5期生のオーディションとして12月下旬に最終選考の合宿が行われ、ほどなくその中から11人に合格が伝えられました。
選抜発表は1月頭で、新メンバーの中西をセンターに配置してのシングル制作もすぐスタートしていたので、かなり急なスケジュールだったことがわかります。

ただ中西のセンター抜擢は、秋元さんの鶴の一声というわけではありません。
オーディション段階から高い歌唱力と表現力を持っている中西は高い評価を受けていて、秋元さんだけでなく運営の間で自然に『中西でいってみよう』という話になったようです。
そもそも最近は秋元さんはドラマ制作に力を入れていて、アイドルグループへの関与は以前より薄れていますからね。
秋元さんからの作詞完成待ちなんてこともあるくらいです」(事務所関係者)

 

しかし中西の乃木坂46加入やセンター抜擢は混乱を極めた。

 

5期生メンバーは、乃木坂46の公式YouTubeチャンネル「乃木坂配信中」で2月2日から1日1人ずつ顔と名前が公開されていった。

 

だが、中西の加入映像が公開される2月8日の前から、ツイッターを中心に中西は炎上の渦中の人となってしまった。
中西が2021年11月頃までモデル撮影会に登録していたという情報が流出し、さらには「パパ活」の疑惑まで浮上したのだ。

 

「文春オンライン」特集班は、中西の撮影会に参加したことがあるというカメラマンに取材をすることに成功した。
登録していたモデル撮影会のサイトで、中には予約開始とともにすぐに撮影枠が埋まる“人気被写体”だったという。

「当時は“ある”という名前で活動していて、私が撮影した時は、料金は1時間6000円ほどで1対1の撮影でした。
顔はもちろん可愛いですが、カメラマンが望む世界観をすぐに理解してくれて、被写体という仕事に真摯に向き合っている印象でした。
私が撮影した2021年8月頃はまだちらほら空きもあったのですが、徐々にカメラマン界隈で話題になり予約が即完売する人気被写体になっていきました。
しかし11月頃に『他の道でやりたいことがある』と突然引退してしまったんです」

 

乃木坂運営および中西本人は撮影モデルの仕事についても沈黙を貫いているが、より深刻な“パパ活疑惑”も浮上している。
SNS上では中西が食事をしている写真やカラオケの写真も飛び交っている。
その多くは、撮影会モデルの活動以前に、中西が個人SNSで被写体として活動し、対価を得ていた頃の写真だという。

 

「文春オンライン特集班」は、中西が撮影会に登録する以前の2020年11月に中西と会った30代の男性に話を聞いた。

「中西さんがツイッターの個人アカウントでカメラマンを募集しているのをたまたま見かけて、DMを送ったのがきっかけでした。
1時間3000円という条件で、個人撮影という名目でした。
ただ私はカメラも持っていなくて、写真はスマホで数枚撮った程度。
SNSに顔写真が載っていて可愛いなと思ったので、一緒に過ごしたい気持ちでDMを送ったのが正直なところです」

 

ツイッターのDMでやり取りをし、待ち合わせは平日の16時にJR千葉駅の中央改札前だったという。
待ち合わせ場所へ向かうと茶色いコートにグレーのマフラーを巻いた中西がすでに待っていた。
男性は中西と合流すると、駅近くのカフェへ向かった。

「SNSに載せていた写真のイメージよりは小柄で、年相応の女子高生に見えました。
お金は先払いで、カフェに入ってすぐ2時間分の現金6000円を手渡しました。
30~40分ほどカフェでしゃべってからゲーセンに移動して写真を何枚か撮り、その後は『安安』で焼き肉を食べました。
食べながらなんでも『おいしい~』とよく笑う子で、人懐っこい柔らかい印象でしたね。
その日はきっちり2時間で解散したと思います。
食事代などはもちろんすべて私が払っています。
当時高校生と話していましたが、制服ではなく私服だったので理由を聞くと、『普通高校じゃないんだ』と言っていました」

 

男性が映画好きだと言うと、「私も洋画が好き」と共通の話題で盛り上がったという。
中西を気に入った男性は、1週間後にもう一度会う約束を取りつけた。
2回めも1回めと同じく平日の夕方に千葉駅で待ち合わせて、この日はまず駅近くのサイゼリヤへ向かった。

「この日は3時間だったので、サイゼリヤで9000円を支払いました。
この日はスカート姿で足は黒いタイツ、髪につけていたピンクのピンが可愛かったのを覚えています。
アルノという名前を珍しいねと伝えると、『友達にもよくいじられるんですよ』と笑っていました」

 

食事を終えると、2人は事前に約束していたというカラオケボックスへ移動した。

「はじめて会った時に歌が得意だと言っていたので、カラオケに行こうと約束していました。
駅からすぐそばのカラオケ店だったと思います。
カラオケにいたのは2時間くらいですが、ほとんど彼女が歌いっぱなしでした。
あいみょんの『マリーゴールド』やYUIの『CHE.R.RY』が上手で、私がリクエストした『涙そうそう』も歌ってくれました。
アイドルソングはたぶん歌っていなかったんじゃないかな。
その後も会いたいと思っていたのですが、中西さんがモデル撮影会に登録して人気になって連絡も返ってこなくなりました。
お金は払いましたが、私は性的なことは何もしていません。
あれはパパ活って言うんですかね?」

 

乃木坂運営事務所に、中西が個人撮影会などの対価として金銭を受け取っていたことについて事実確認を求めたが、期日までに回答はなかった。

 

中西の加入前の行動が次々と流出する中で、乃木坂運営は《新メンバーに対して、一部のSNSを発端とした事実無根の情報があり、誹謗中傷が続いている状況が見受けられます》という声明を発表した。

 

過去にも乃木坂では、メンバーがグループ加入前に男性と撮ったツーショット写真が流出したこともあるが、「グループ加入前については基本的に処分しない方向」(前出・事務所関係者)という対応を続けてきた。

 

デビュー10年が経ち、転換期を迎える乃木坂46。
昨年の紅白歌合戦を最後に生田絵梨花も卒業し、中西のセンター抜擢は新しい時代を作る第1歩となるはずだった。
3月23日発売の新シングル「Actually…」は直訳すると、「実際のところ…」という意味である。

 

この騒動がどんな決着を迎えるか目が離せない。