新型コロナウイルスの新しい変異ウイルス、オミクロン株にはどんな特徴があるのでしょうか。

 

世界各国で感染が確認され影響が広がっていて、日本でもすべての国や地域を対象に、外国人の新規入国を原則停止しました。
オミクロン株についていまわかっていること、想定される事態、そしてできることは何か。2人の専門家に聞きました。

 

・オミクロン株とは
国立感染症研究所によりますと、南アフリカで確認された新たな変異ウイルス、オミクロン株はウイルスの表面にある「スパイクたんぱく質」という突起のような部分に、これまでの変異ウイルスの中で最も多い、30か所の変異が見つかっていて、このほかにも遺伝子の一部が欠損するなどしているということです。
「スパイクたんぱく質」はヒトの細胞に入り込む際に最初に結合する部分で、ワクチンによる抗体が目印としています。

 

・オミクロン株 ワクチン・治療薬・病原性は
オミクロン株について、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。

オミクロン株が特殊な点は、「スパイクたんぱく質」の部分の変異か所が多すぎるということです。
「スパイクたんぱく質」が従来の変異株にくらべて、だいぶ構造が変わっている可能性があるため、性質もかなり変わっているのではないかということが推測されます。
そうすると、すでに感染した人も同じようにまた感染してしまう。
またワクチンの効果が下がる可能性もあります。
治療薬も場合によっては有効性が下がっている可能性が懸念されます。
病原性については、実際に感染した人がどれぐらい重症化しているかというデータがまだはっきりと出ていません。
病原性は今のところまだ分からないというところだと思います。

 

・ワクチンの有効性は 3回目の接種は

ワクチンについては、それぞれのメーカーがオミクロン株に対しての有効性を評価すると思います。
その結果は、おそらく2週間ぐらいで出ると思います。
いまのワクチンが効かないということになれば、オミクロン株に対応できる新たなワクチンにつくりかえる必要があります。
短期間でできるかどうかわかりませんが、新たなワクチン開発ということもあり得ると思います。

現時点で私たちができることは、いまある手段を使って抵抗力を高めておくということになります。
ワクチンがオミクロン株にどこまで有効か不透明ではないかと思われるかもしれませんが、予定されている3回目のワクチンを接種することが大事になると思います。

 

・オミクロン株 デルタ株とくらべ感染力は

〇感染力は それを踏まえた対応は
南アフリカではデルタ株への感染が広がっていたのですが、それを押しのけるようにオミクロン株が広がっています。
それを考えるとオミクロン株はデルタ株よりも感染力が強い可能性があるということが言えると思います。
従来よりも、かなり遠くの人までこのウイルスが届いて感染している可能性があるという指摘もあります。
そうすると感染対策上、対応も変えなければいけません。
この状況の中で一番大事なことは、海外のウイルスを持ち込まないということです。
外国人の方の入国を止めるということはいい判断だと思います。

 

〇オミクロン株に対応した検査体制を
残念ながら国内の検査体制は、オミクロン株に対してはまだ十分ではありません。
国立感染症研究所では、ある程度できると思いますが、一般的に検査するような体制が全国でできているわけではありません。
各地で感染者がぽつぽつ出たときに、それを抑え込む体制には全然至っていません。
検査体制はもっとしっかりとオミクロン株に対してもできるように早めに対処すべきだと思います。

 

・入国制限で時間を稼ぎオミクロン株対策を
厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授に、オミクロン株に対する対策などを聞きました。

もう少し状況を見なければわかりませんが、オミクロン株が世界で主流になってきた場合には、日本国内にも入ってしまうことはあり得ると考えておくことが必要です。
まずはオミクロン株を持ち込まないようにすることが重要で、入国者をかなり絞るというような形になっていますが、あくまで時間稼ぎです。
その間に、感染力やワクチンの効果が影響されるかということが見えてくれば、追加の準備をする時間にもなります。
検査がきちんとできるように、変異をとらえるような国内体制の整備といったことにも時間を使うことができることになります。

 

・感染者減少の状況でも受診や検査の徹底を

国内ではいま感染者の数が減ってきていますが、逆にこの状態を心配しています。

どういうことかと言うと、患者の側では、せきが出る、喉が痛い、熱が出る、今までは受診していたのですが、新型コロナの検査を受けにきてくださらない。
医療従事者の側も、感染者があまりいないので検査をしなくなっているということがあります。
具合の悪い方は人と会わない。
検査を受ける。
医療機関は積極的に疑って検査をしていく。
私たちひとりひとりも、これまでやっている感染対策をしっかりとやっていくというところに尽きると思います。

 

・冬場の感染拡大を警戒

冬場は一番感染拡大を警戒する時期としてあげられます。国内にオミクロン株が流入した場合には、感染が広がる可能性はあるだろうと思います。
冬場というのは新型コロナだけじゃなくてほかの疾患も非常に多くなります。
心筋梗塞であったり、脳梗塞であったり、病院は冬の間、非常に忙しい時期になります。
さらに新型コロナの患者ということになれば、医療の逼迫、そして市民のみなさまにも、また強い対策をお願いしなければならなくなるということはあり得ると思います。
正月で人の移動がともなうと1月中旬以降、2月、まだ寒い中での医療体制が場合によっては大きく影響される可能性があることは想定しておく必要があります。