「昔は、朝日や読売を打ち負かす特ダネを取ってくる優秀な事件記者だったんですがね…」。

 

こう嘆くのは、東京新聞のベテラン記者である。
ジャニーズ事務所の会見を「茶番だ」と騒ぎ立てる東京新聞・望月衣塑子記者(48)の“暴走”が止まらない。
同僚たちは彼女の振る舞いをどう思っているのか。
“本音”を聞いた。

 

10月2日に開かれたジャニーズ事務所の会見で、望月氏は「自分を指してもらえなかった」ことを理由に何度も喚き散らした。
その姿を見た視聴者の多くが呆れ、会見直後はSNS上に「下品」「傍若無人」などの批判が溢れ返った。

 

だが、5日、ジャニーズ事務所側が指名しない記者をまとめた「NGリスト」を作成していた事実が発覚すると、風向きが変わった。
望月氏はSNSで〈茶番、八百長会見〉と語気を強めて批判。
〈東山氏と井ノ原氏の辞任を強く求めます〉
〈やり直し会見を求めます〉
と攻勢を強めている。

 

一連の騒ぎについて、東京新聞の中堅記者が呆れて語る。

 

「NGリストの件でジャニーズ事務所側に問題があったことは間違いない。
ただし、それと彼女の振る舞いは別問題だと思います。
300人も出席した会見で、自分が指されないことを問題視すること自体が傲慢でしょう」

 

前回の会見でも望月氏は、ほとんどの社が守っていた1社2問のルールを無視して10分以上も質問。
セカンドレイプと批判を受けるような質問や「テレ朝は今日も中継しておりません」といった事実誤認の発言まで繰り出し、場を乱した“前科”があった。

 

「決して、ジャニーズ側を擁護するわけではありませんが、彼女についてはNGリストに入れられたのも仕方なかったと思います」(同)

 

しかもよく聞けば、望月氏は東京新聞記者としてあの会見に参加していなかったという。
会見内容を報じた翌日の朝刊に“証拠”が載っていた。
同紙は署名記事を原則としているが、会見の模様を伝えた「本記」には男性記者の署名しか入っていない。
望月氏の名前は、被害者からの批判の声をまとめた「サイド記事」にあった。

 

「会見には彼女が持つもう一つの肩書き、YouTubeチャンネル『Arc Times』キャスターとして参加していたようです」

 

望月氏は、最近使い出したこの新たな肩書きと東京新聞記者を、都合良く使い分けている。
例えば、7月28日に都内で開かれた、木原誠二前官房副長官の妻の元夫が死亡した事件の内幕を週刊文春に告白した元警視庁刑事の会見。

 

「あの時は各社一人という取り決めがあったため、警視庁クラブの記者を出すことになりました。
望月さんは『私も出たい』と言ってきたそうですが、警視庁クラブは『これは警視庁の事件だから』と上層部を通して断った」(若手記者)

 

だが、いざ当日になってみると、堂々と会見場に入っていたという。

 

「東京新聞で入れないことを知った彼女は、『Arc Times』で入ったのです。
そして例によって、3分くらい一方的に自分の意見としか思えないとっ散らかった質問を続けて、周囲の顰蹙を買っていました」(同)

 

一方、記者クラブ主催の定例会見には、取材申請なしで入れる便利な東京新聞の取材パスを利用する。
6月に入管法が改正されるまでは、法務省の会見に毎回のように出席して、齋藤健前法務相と激しいバトルを繰り広げた。

 

「1問終えたら挙手、2問目を終えてもまた挙手。
指名されないと報道官に当たり散らす。
質問内容も入管法改正に反対する自分の意見に過ぎず、事実誤認が含まれていようがへっちゃらです」(他社の法務省担当記者)

 

6月8日には国会でも騒ぎを起こした。
参議院法務委員会で入管法改正案に反対する野党議員の質疑中に「そうだ、そうだ」とヤジを飛ばし、鈴木宗男参院議員から「中立の立場から報道すべき記者として不適切な言動」と猛批判を浴びた。

 

9月6日には、官邸記者会見で松野博一官房長官に「私が来ているときは大抵20分ぐらいで打ち切りになる」とクレームを入れ、松野氏から「東京新聞さんに一番長くにわたって丁寧にお答えしている」と反論されるバトルも。

 

つまり、望月氏はどこの会見場に行っても、トラブルばかり起こしているのである。

 

さぞ社内でも問題児扱いされているのではと思うのだが、先の中堅記者は「上層部は全く問題視していない」と語る。

 

「彼女の著書『新聞記者』が映画化されてから、誰も彼女をコントロールできなくなってしまっている。
ただ現場レベルでは大ブーイングですよ。
取材先から『あの望月さんがいる新聞社ね』と馬鹿にされますからね。
独善的なジャーナリズムを貫くのは結構だが、その陰で頭を下げている同僚たちがいることを知ってほしい」(前出の東京新聞中堅記者)

 

冒頭のベテラン記者は、同紙の「脱・記者クラブ」の取材方針が、“黙認”の背景にあると語る。

 

「今、うちの新聞は合理化を進める中で、北関東の支局で警察担当を廃止したり、司法記者クラブで検察回りをやめるなど、これまでの“当局取材”に重きを置いた取材体制を見直しています。
一応、各記者には担当がありますが、その職務にとらわれず自由に取材することが認められているのです。
望月さんも一応は厚労省担当です」

 

だが、一連の会見での振る舞いについて「あれは新聞記者の仕事ではない」と釘を刺す。

 

「昔の彼女は、あんなんじゃなかったですよ。
警察官や検察官の自宅に夜討ち朝駆けして、ちゃんとネタを取ってくる記者だった。
権力に擦り寄る手法を変えるのは結構だと思いますが、真実を伝えるという新聞記者の使命にもう一度立ち返ってほしいです」(同)

 

東京新聞に取材を申し込んだが、《特にコメントはありません》(東京新聞編集局)との回答だった。

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