シンガー・ソングライター山下達郎(70)が9日、TOKYO FM「山下達郎の楽天カード サンデー・ソングブック」(日曜後2・00)に出演。
自身が所属する音楽プロダクション「スマイルカンパニー」と音楽プロデューサー・松尾潔氏(55)との業務委託契約が終了したことについて、約7分間にわたり激白した。

 

山下が語ったコメント全文は以下の通り。

 

さてこの度、私のオフィススマイルカンパニーと業務提携をしていた松尾潔氏が契約終了となり、そのことについて、私の名を挙げたことで、ネットや週刊誌等で色々と書かれております。
私はTwitter、Facebook、Instagramといったものを一切やっておりませんので、ネットで発信することができません。

 

そのため、私の唯一の発信基地であるこの『サンデーソングブック』にて私のお話を皆さんにお聞きをいただこうと思います。
少々長くなりますが、お付き合いください。

 

まずもって、私の事務所と松尾氏とは、彼から顧問料をいただく形での業務提携でありましたので雇用関係にあったわけではない。
また、彼が所属アーティストだったわけでもなく、従って解雇には当たりません。弁護士同士の合意文書も存在しております。

 

松尾氏との契約終了については、事務所の社長の判断に委ねる形で行われました。
松尾氏と私は直接何も話をしておりませんし、私が社長に対して契約を終了するよう促したわけでもありません。
そもそも彼とは長い間会っておりません。
年にメールが数通という関係です。

 

今回、松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因であったことは認めますけれど、理由は決してそれだけではありません。

 

他にも色々あるんですけれど、今日、この場ではそのことについては触れることを差し控えたいと思います。

 

ネットや週刊誌の最大の関心事はですね。私がジャニーズ事務所への忖度があって、今回の一件もそれに基づいて関与しているのでは、という根拠のない憶測です。

 

今の世の中はなまじ黙っているといったもの勝ちで、どんどん嘘の情報が拡散しますので、こちらからも思うところを正直に率直にお話ししておく必要性を感じた次第であります。

 

今話題となっている性加害問題については、今回の一連の報道が始まるまでは漠然としたうわさでしかなくて、私自身は1999年の裁判のことすら聞かされておりませんでした。

 

当時、私のビジネスパートナーはジャニーズの業務を兼務していましたけれど、マネージャーでもある彼が一タレントである私にそのような内情を伝えることはありませんでした。

 

性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許し難いことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます。
しかし、私自身がそれについて知っていることが何もない以上、コメントを出しようがありません。
自分はあくまで一作曲家、楽曲の提供者であります。

 

ジャニーズ事務所は他にもダンス、演劇、映画、テレビなど業務も人材も多岐にわたっておりまして、音楽業界の片隅にいる私に、ジャニーズ事務所の内部事情など全く預かり知らぬことですし、まして、性加害の事実について私が知る術も全くありません。

 

私は中学生だった1960年代に初代ジャニーズの楽曲と出会ってジャニー喜多川さんという存在を知りました。
何年か後に初代ジャニーズの海外レコーディング作品を聴いて私はとても感動して、この『サンデーソングブック』でも特集したことがあります。

 

1970年代の末に私の音楽を偶然に聴いたジャニーさんに褒めていただいて。
そのご縁で、数年後に私のビジネスパートナーが近藤真彦さんのディレクターとなったことから、『ハイティーン・ブギ』という作品が生まれました。
その後もジャニーズに楽曲を提供する中で多くの優れた才能と出会い、私自身も作品の幅を大きく広げることができ、成長させていただきました。

 

たくさんのジャニーズのライブに接することができたおかげで、KinKi Kidsとの出会いがあって、そこから『硝子の少年』という作品を書くことができて、昨年の『Amazing Love』まで彼らとの絆はずっと続いております。

 

芸能というのは人間が作るものである以上、人間同士のコミュニケーションが必須です。
いやどんな業界会社、組織でも変わらないでしょう。

 

人間同士の密な関係が構築できなければ良い作品など生まれません。
そうした数々の才能あるタレントさんを輩出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は今も変わっていません。

 

私の人生にとって一番大切なことはご縁とご恩です。
ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが、戦後の日本でどれだけの人の心を温め、幸せにし、夢を与えてきたか。
私にとっては素晴らしいタレントさんたちやミュージシャンたちとのご縁をいただいて、時代を越えて長く歌いついでもらえる作品を作れたこと。
そのような機会を与えていただいたことに心から恩義を感じています。

 

私が一個人一ミュージシャンとしてジャニーさんへのご恩を忘れないことや、それからジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと、社会的・倫理的な意味での性加害を容認することとは全くの別問題だと考えております。

 

作品に罪はありませんし、タレントさんたちも同様です。

 

繰り返しますが、私は性加害を容認しているのではありません。

 

アイドルたちの芸事に対するひた向きな努力を間近で見てきたものとして、彼らに敬意を持って接したいというだけなのです。

 

ですから正直残念なのは、例えば素晴らしいグループだったSMAPの皆さんが解散することになったり、最近ではキンプリが分裂してしまったり、あんなに才能を感じるユニットもどうしてと疑問に思います。

 

私には何もわかりませんけれど、とっても残念です。
願わくば、みんなが仲良く連帯して素晴らしい活動を続けていってほしいと思うのは私だけではないはずです。
KinKi Kids、嵐、他のグループもみんな末永く活動していってほしいと思うばかりです。

 

先日男闘呼組の再結成という、うれしいニュースがありましたが、同じようにいつか近い将来SMAPや嵐、キンプリの再集合も実現するような日が来ることを、竹内まりやともどもに願っております。

 

性加害に対する様々な告発や報道というのが飛び交う今でも、そして彼らの音楽活動に対する私のこうした気持ちに変わりはありません。

 

私の48年のミュージシャン生活の中でたくさんの方々からいただいた御恩に報えることができるように、私はあくまでミュージシャンという立場からタレントさん達を応援していこうと思っております。
彼らの才能を引き出し、良い楽曲を共に作ることこそが私の本分だと思ってやってまいりました。

 

このような私の姿勢を忖度、あるいは長いものに巻かれているとそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。
きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう。以上が、今回のことに対する私からのご報告です。
長々失礼しました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 

これを受け、松尾潔氏は、「残念ですね。メロウじゃない日曜日」と短くツイート。

 

松尾氏は同氏が出演番組などで好んで使う「メロウ」(心地よい)を引用して複雑な心境を遠回しに表現したと思われるおもわれる。

Lovers’ Voices 〜松尾潔作品COVER BEST〜 [ BREATHE ]