岸田総理は長男で総理秘書官を務める翔太郎氏を、前任の山本高義氏と交代させると発表した。
事実上の更迭と見られる。

 

岸田総理は29日夕方、記者団の取材に応じ、
「けじめをつけるため交代させた」
「任命責任は私自身にあり、重く受け止めている。国民の皆様の声に耳をすませ、先送りできない課題一つひとつに答えを出していくことに邁進することで、職責を果たしていきたい」
と述べた。

 

また、長男の翔太郎首相秘書官(政務担当)は、退職金を受け取らない意向を示していることが分かった。
6月1日に辞職するためボーナスに当たる期末・勤勉手当は支払われない。
官邸関係者が明らかにした。

 

翔太郎氏は首相公邸内での不適切な行動が批判されていた。
6月1日付で辞職させ、後任には翔太郎氏の前任だった山本高義元首相秘書官を充てる。

 

この突然の交代劇の一番の理由というのは、政権支持率への影響とみられる。

 

この問題が発覚した直後、官邸内には「岸田首相が注意をすれば、このまま乗り切れるのではないか」という見方もあったのだが、その後、国会でも野党側が追及するなど、批判が収まる兆しがなかった。
週末に実施したFNN世論調査でも、支持率は微減した。

 

一方、この支持率については当初、サミットの効果を受けて上昇することが期待されていた。
ところが、この効果というのが、不祥事によって相殺される形になってしまった、という事情がある。
当然、親族であるため、当初の首相の対応を見れば、翔太郎氏を守りたいという気持ちはあったのではないかと思われる。
ところが、首相の周辺からも、最近になっては、「こんなことをやっていてはだめだ。辞めさせなければ、首相は解散を打てなくなる」といった見方が出ていた。

 

首相の解散戦略に影響が出るとの見方も出ていたことから、こういった声に首相が耳を傾けて、最終的に事実上の更迭という厳しい判断をしたとみられる。

 

不適切な行動を報じた週刊文春によると、翔太郎氏は昨年12月に公邸内で親族ら10人以上と忘年会を開いた際、内閣発足時の記念撮影にも使われた階段で集合写真を撮ったりした。
その際、親族の一人が寝そべったりした。

 

首相は厳重注意したが、野党から更迭要求が出ていた上、与党からも批判が相次いだ。
6月21日の今国会会期末が迫る中、首相は秘書官交代により政権運営へのダメージ回避を図ったとみられる。