東京五輪・パラリンピックのテスト大会をめぐる入札談合事件で、特捜部は29日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で新たに広告大手「ADKホールディングス」と広告最大手「電通」の各グループ会社を家宅捜索。
25日、28日に続く強制捜査は下請け企業にも拡大した。

 

家宅捜索を受けたのは、ADK側が広告大手「ADKマーケティング・ソリューションズ」、電通側がイベント制作会社「電通ライブ」。
このほか、いずれもイベント制作会社の「シミズオクト」と「トレス」も捜索を受けた。

 

シミズオクトとトレスの2社は下請けに入ることを条件に、談合が疑われている一般競争入札への参加を見送った疑いがあるという。

 

「電通に限らず、広告代理店はイベント運営の分野ごとに、各社おおよその発注先が決まっているのが普通。
持続化給付金事業と同じで、業務は下へ下へとほぼ丸投げされていきます。
シミズオクトとトレスは、いわば電通の下請け。
トレスは従業員7人と規模が小さいため、そもそも入札に参加できたかどうか疑問です。
何次請けなのかは分かりませんが、トレスはかなり『川下』の方でしょう。
そこまで捜査に入るとは驚きです。
この調子で他の大手広告代理店の下請け企業にも強制捜査に入るつもりなら、キリがないでしょう」(広告業界関係者)

 

五輪談合事件をめぐり、“ガサ入れ”されたのは、談合疑いのある事業を落札した9社のうち8社。
元請けに限らず、従業員7人と小規模の下請け業者まで捜査を拡大したのは、「特捜部が本気で証拠固めに乗り出した」(捜査事情通)との見方もある。

 

芋づる式に捜査対象が広がっていけば全容解明に近づく一方、各社は箝口令を敷いている疑いがあるという。

 

「電通を頂点とするピラミッド構造がある以上、もし『川上』の大手代理店が入札参加停止処分を食らえば、下請けにとっても死活問題。
『電通がマズいことになったら、もっと大変なことになることは分かっているよね』と、下請け企業にも箝口令を敷いている可能性があります。
しかし、入札参加停止処分を避けるために積極的に捜査へ協力する企業もあるでしょう」(前出の広告業界関係者)

 

一体、捜査の手はどこまで及ぶのか。