2021年3月25日にアイリスオーヤマが初のノートパソコン「LUCA Note PC」を発売、大きな話題となりました。

 

定価は税抜4万9800円(税込5万4780円)。

 

この価格だけ見ると「安くていいのでは?」と思うかもしれませんが、あまりにも低スペックだったことで、ネットやSNSなどでは酷評が集まる結果になってしまいました。

 

LUCA Note PCの主な問題点は下記の3点です。

搭載されているCPUやメモリ、ストレージが貧弱
性能が低いにもかかわらず、ビジネス向けのWindows 10 Proをなぜか採用
このスペックで約5万円なら、より安価なノートPCが購入できる

 

搭載されているCPUは性能を見る限り、Intelの「Celeron N4100」だといわれています。
低価格パソコンではおなじみのCeleronシリーズですが、Celeron N4100は’17年11月末に発売された数世代前のもの。

残念ながらCPUの性能は高くないですし、メモリが4GB、ストレージが64GBと、これらもかなり心許ないです。

パソコンに明るい方なら一目瞭然なのですが、メモリが4GBなのはかなり非力。
スペック的にWebブラウザの閲覧やワード、エクセルなどを動かすことはできても、快適な動作は期待できませんし、マルチタスクも厳しいものになっています。
高度な作業を要さない場合でもメモリは最低でも8GBは欲しいところです。

ストレージが64GBしかないのもネック。
Windows 10のOSをインストールするだけで半分近くを専有してしまうので、データのやりくりで苦労するハメに。
外付けのハードディスクを別途用意するか、クラウドストレージを利用するなどの対策が必要になります。

低スペックにもかかわらず、OSにはWindows 10 Homeではなく、ビジネス向けのWindows 10 Proを採用しています。
宝の持ち腐れですが、これは文部科学省が推進する子ども1人にパソコン一台を渡す計画の「GIGAスクール構想」を意識してのことでしょう。
というのも、文部科学省が定めている仕様で、WindowsのOSは「Windows 10 Pro相当」と決められているからです。
CPUやストレージ、メモリも条件をギリギリで満たしているあたり、しっかり考えられていますよね。さすがに画面のタッチパネルには対応できなかったみたいですが……。

 

スペックだけみると、LUCA Note PCはかなり厳しいといわざるをえませんが、発売当初は品切れが続きました。
ある程度、パソコンの相場を把握している方は「5万円も出して誰が買うんだ」と感じると思いますが、家電量販店でノートPCを購入されるお客さまは、価格重視の方が多い印象です。

 

LUCA Note PCはアイリスオーヤマの製品ということもあって、そういった価格重視の方たちがブランドに惹かれて購入したのではないかと考えています。

 

また、これはLUCA Note PCの話ではありませんが、近年、GIGAスクール構想を推進すべく、各市町村が生徒たちに付与する端末をかき集めているのも影響しているのかもしれません。

 

取引先の業者さんが端末の設定に駆り出されていて、「めちゃくちゃ忙しい」と愚痴をこぼしているのをよく耳にします。
仮に学校でLUCA Note PCが支給されると、動作があまりにも遅くて、生徒たちのパソコン離れがますます加速してしまわないか心配です。

 

いずれにせよLUCA Note PCは、ネットやSNSで散々言われている通り、買わないほうがいいでしょう。
一部の販売店では発売からひと月を待たず、1万円前後も値下げして販売しているようですが、「安いから」で買うのはまったくオススメできません。

 

ただ、ノートパソコンの第一弾は残念な結果になってしまいましたが、アイリスオーヤマは個人的に注目しているメーカーなだけに、今後の展開には期待したいところです。