まさかの〝ドタキャン〟だ。
大相撲名古屋場所初日(9日、愛知県体育館)、新大関霧島(27=陸奥)が日本相撲協会に「右肋骨骨挫傷、約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
新大関の初日不戦敗は昭和以降初。
前代未聞の大失態を演じた霧島に対しては、親方衆から「大関失格」の声が上がるなど角界内に波紋が広がっている。
霧島の休場について、師匠の陸奥親方(元大関霧島)は「昨日(8日)、痛くて動けない状態になって病院へ行った。1年以上前から痛かったらしいんだけど、本人が言わずに我慢してやってきた。(霧島は)『出たい』と言っていたが、変な相撲を取れば失礼になる」と説明。
途中出場には「昨日より今日の方が良くなっている。稽古場で状態を見ながら」と含みを持たせた。
新大関の霧島は今場所の目玉力士の一人。
大関貴景勝(26=常盤山)とともに休場となり、初日からの大関不在は昭和以降初の異常事態となった。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は協会あいさつで「大関の休場は大変遺憾」と無念さをにじませ、審判部副部長の粂川親方(元小結琴稲妻)も「ケガばかりはどうしようもない。残念」と表情を曇らせた。
一方で、今回の突然の休場は角界内に波紋を広げている。
本場所の出場が見込めない力士は、初日の2日前に開かれる取組編成会議までに休場を届け出る不文律があるからだ。
実際、貴景勝らはこの慣例に従って休場届を出している。
当日のアクシデントなど特別な事情でもない限り、初日の〝ドタキャン〟は失態に等しい行為。
看板力士の大関ともなれば、なおさらだ。
陸奥親方も「稽古場で、もうひとつ元気がないような気がしていた。疲れていると思って一昨日(7日)は稽古を休ませた」と霧島に〝異変〟があったことを明かしている。
新大関としての責任感があったにせよ、ギリギリまで出場の可否の判断を引っ張ったことで、結果的に注目の取組が消滅した格好。
あるベテラン親方は「出られないほどひどいのなら、事前に言わないとダメだ。大関の自覚が足りない」と斬り捨てた。
いずれにせよ、仮に途中から出場しても優勝争いは絶望的。
ここで無理をして負傷箇所を悪化させれば、大関陥落につながりかねない。
今場所は全休して回復に専念し、来場所の復活を目指すのが最善策と思われるが…。
果たして、どうなるか。