テレビのバラエティー番組などで活躍した落語家でタレントの笑福亭笑瓶さんが22日午前、急性大動脈解離のため亡くなりました。66歳でした。

 

笑福亭笑瓶さんは大阪市出身で、1980年に大阪芸術大学を卒業したあと、落語家の笑福亭鶴瓶さんのもとに入門し、修業を始めました。

 

関西を中心にテレビやラジオに出演するようになると、明るい人柄がお茶の間に親しまれ、1987年からは東京に拠点を移してテレビのバラエティー番組などで活躍し、トレードマークの黄色いめがねや、ものまね芸などで人気を集めました。
また、NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」にも出演するなど幅広く活躍していました。

 

所属事務所によりますと、笑福亭笑瓶さんは東京都内の自宅で倒れ、22日午前、急性大動脈解離のため亡くなったということです。

 

師匠で、落語家の笑福亭鶴瓶さんは所属事務所を通じてコメントを発表し
「師弟関係を結んだのは僕が29歳で笑瓶が24歳。師弟関係というよりも、信頼のおける親友のようでした。一番僕のそばにいて、全ての事に気のつく男ですごく彼がいて助かりました。僕より先に逝くとは思いませんでした。すごくええ顔して旅立って行きました。最期に顔見れてよかったです。お疲れ様でした」
と笑瓶さんの人柄をしのびました。

 

お笑い芸人の間寛平さんは
「びっくりして、めちゃくちゃショックです。テレビのレギュラーで一緒だったので楽屋でよく話をしていました。前にゴルフ場で倒れた話を聞いてから体に気をつけようなとお互いに言い合っていたので本当にショックです」
とコメントしています。

 

落語家の月亭方正さんは
「いつもどの現場でも笑っておられた笑瓶さん。落語会でご一緒させていただいたときも出番前に『笑とけ笑とけ』とおっしゃっておられました。色々とご教授いただきありがとうございました。ご冥福をお祈りします」
とコメントしています。

 

笑福亭笑瓶さんの出身地、大阪市にある上方落語専門の寄席、天満天神繁昌亭の前では死を悼む声が聞かれました。

 

大阪市の41歳の会社員の女性は
「小さい時から見ていたので、訃報を知って驚きました。昔は、毎日のようにテレビで見ていて、楽しく見させてもらいました。ありがとうございましたと伝えたいです」
と話していました。

 

大阪市の47歳の男性は
「まだ若いのに驚きました。ものまねの番組で拝見していましたが、人柄のよさそうな印象を持っていました。楽しい思い出をありがとうございました。ご冥福をお祈りします」
と話していました。

 

寄席のチケットを買いに訪れたという八尾市の66歳の女性は
「同い年なので亡くなったと聞いて驚きました。メガネと特徴的なしゃべり方が印象に残っていて、テレビのコメントがおもしろかったというのが思い出です。ご冥福をお祈りします」
と話していました。

 

急性大動脈解離は高血圧の人などで起きやすく、胸や背中に突然、立っていられないほどの激しい痛みとともに起きる、死亡することも多い病気です。

 

心臓から血液を全身に運ぶ大動脈の膜になんらかの理由で亀裂が入ると、もともと血管の壁だった部分に血液が流れ込むことで、血管が膨らんだり亀裂が広がったりして破裂しやすくなります。

 

血管が破裂するなどして心臓が圧迫されて血液が送り出せなくなったり、心筋梗塞や脳梗塞などにつながることもあり、日本循環器学会などがまとめたガイドラインによりますと、患者の半数ほどは病院に到着する前に死亡しているという報告もあるということです。

 

大動脈解離は高血圧の人で起きやすいとされ、厚生労働省によりますと、大動脈の壁が弱くなって、こぶのように膨らむ「大動脈りゅう」と合わせて、おととしには1万9000人余りが死亡したということです。

 

日本循環器学会の常務理事で、佐賀大学の野出孝一教授は
「背中や胸に激しい痛みを感じたときは迷わずに救急車を呼んで、専門的な医療機関で治療を受けてほしい。発症するまで気付かないことがほとんどだが、高血圧の人は最もリスクが高いと指摘されている。禁煙や塩分を控えるといった生活習慣の改善や肥満対策など高血圧の対策をすることで予防につながる」
と話しています。