日本の映画の歴代興行収入ランキングを眺めると、『鬼滅の刃』『千と千尋の神隠し』『アナと雪の女王』『君の名は。』など、アニメが上位を占めている。

 

その中でポツンと輝くのが、1997年公開の『タイタニック』だ。
興行収入262億円で歴代3位に輝く同作の3Dリマスターが現在上映中(2月23日まで)だが、これがとんでもなく混んでいる。

 

ネットには、

「どの日もどの時間帯も満席」
「タイタニック人気すぎだろ ほぼ席空いてないやん」
「タイタニック激混みすぎて、平日夕方でも満席なのヤバい」

といった悲鳴が続出。
上映回数の増加や上映期間の延期を求める声が多数寄せられているのだ。

 

「今回の3Dリマスターは公開25周年を記念して2週間限定で上映されていますが、初日から満席が続出。
最初の週末には最新作に混じっていきなりランキング5位に入り、わずか3日間で興行収入は1億円を超えました。

『タイタニック』は当時、史上最高の製作費が投じられ、公開時間が3時間を越える超大作でしたが、世界中で爆発的にヒットし、アカデミー賞でも11部門を受賞。
すでにテレビで何度も放送され、国内だけでもビデオは500万本以上売れたので、この状況に一番驚いているのは映画館や映画会社かもしれません」(エンタメ誌記者)

 

週末だけなら混雑するのも理解できるが、平日まで満席なのは尋常ではない。
公開から四半世紀を経て再びこれだけの客を集めるとは名作の持つ力の大きさを感じるが、映画関係者はこの状況に苦笑いだ。

 

「近年の映画業界の大きな悩みが、極端な二極化です。
総興行収入だけを見れば、映画界はそこそこ潤っているように見えますが、2~3作のメガヒットが大稼ぎして、残りの大半は大ハズレという傾向があまりに顕著です。

一方で、若者の間では『2時間で2000円近く取られる映画はコスパが悪い』『1本の映画を見るのに2時間近くもかかるのはタイパが悪い』といった声は多く、さらにサブスクや有料配信などライバルも増えて、映画館の存在意義が問われる状況にもなっている。

『タイタニック』の大混雑は関係者にとって喜ばしいニュースですが、メガヒット作におんぶに抱っこでは、やがて映画業界は衰退していくのではという危機感を多くの関係者が抱いています。

『タイタニック』の再上映に限らず、最近はシニア向けに午前中に名画を上映したり、名作のリマスター上映をやるのがブームですが、それはすなわち、最新作の上映機会が削られるということ。
過去の名作に光を当てるのは、映画文化を広める上で大事な作業ですが、『遺産を食い潰しているだけ』という冷ややかな声も少なくありません」(映画関係者)

 

映画業界もタイタニック号のように沈没してしまうのか。