連日連夜の番宣出演は焦りの裏返し?
木村拓哉と綾瀬はるかが共演した映画『レジェンド&バタフライ』の興行成績が“微妙”な気配だ。

 

織田信長と濃姫の激動の生涯を描いた感動巨編となる本作は、1月27日の公開初日から3日間で37万人を動員。
興行収入4億9000万円を記録して週末の興行ランキング1位を獲得しており、さらに東映の実写映画歴代1位となる『男たちの大和/YAMATO』(2005年、累計興収51億1000万円)の初日3日間と比べて117%となる滑り出しを見せ、本来なら絶好調と言いたいところだが……。

 

「この初速により、配給の東映は最終興収40億円超えを見込んでいるといいます。
しかし、昨年末に公開された二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』の公開3日間の興行収入は3億7400万円で、1月下旬に累計20億円を突破したと見られていますが、『ラーゲリ』と同じペースで推移するとなると『レジェバタ』の現実的な数字は30億円あたりではないでしょうか。
加えて、東映70周年記念作品である本作は、総製作費20億円。
これだけの製作費となると、興収45億円ほどないと採算が取れないと言われており、DVD販売などの二次利用での稼ぎを考慮しても、累計30億円程度では赤字になると見られています。
“40億円超え”はなんとか黒字にしたい東映側の希望が込められた数字では」(映画ライター)

 

総製作費20億円の東映70周年記念作品というだけあって、本作は上映3カ月前から大々的なプロモーションがスタート。
昨年11月上旬の「ぎふ信長まつり」では、木村が出席した6日の人出がおよそ46万人にものぼったのは記憶に新しい。
そして公開月である今年1月からは、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビと民放各局の人気番組に木村ら出演者が続々と出演。
“キムタクに恥をかかせられない”とばかりに、手厚いバックアップ体制が敷かれている。

 

それなのに、採算ラインを超えそうにない結果となりそうなのはなぜか。
前出の映画ライターが問題点を指摘する。

 

「一つは上映時間の長さ。2時間48分ですから、観客は3時間近く拘束されるわけで、気軽に観に行けるタイプの映画になっていない。
そしてそれ以上に大きかったと思われるのが、ターゲット層のズレ。
木村の時代物といえば2006年の『武士の一分』が興収40億超えで松竹配給映画として当時の歴代最高記録をたたき出しましたが、あれは原作・藤沢周平による山田洋次監督の『時代劇三部作』の最後を飾る作品ということもあり、幅広い層から支持を得ることができた。
しかし今回は、“製作費20億円の超大作時代劇”でありながら、期待された迫力の合戦シーンは少なく、織田信長と濃姫の“ラブストーリー”が主になっているオリジナル作品で、歴史物が好きな層には受けない。
さらに言えば、ほとんど史料が残っていない濃姫について、謎が多いのをいいことに好き放題“新しい解釈”で描かれているのも、歴史好きの人には噴飯もの。
結末を含め、戦国ファンタジーとして受け止められる人でないと厳しい評価になるでしょう。
そもそも脚本の古沢良太氏がやりたかったのは、“最悪の政略結婚”や“最悪のボーイmeetsガール”といった時代劇ラブコメだそうですから、東映70周年記念作品という格式ある企画と最初からあまりマッチしていなかったのでは?」

 

加えて、事務所の後輩・松本潤が主演するNHK大河ドラマ『どうする家康』の悪影響も考えられるという。

 

「古沢氏は現在放送中の『どうする家康』も手がけていますが、こちらも時代考証など二の次といったファンタジーなつくりで賛否呼んでおり、女性や若年層受けはいいものの、これまでの大河ファンを中心に内容にはツッコミが入りまくり。
そのため、『どうする家康と同じ脚本の人って知って不安になってる』といった声も少なくない。
両方を観た人からは『レジェバタのほうが全然いい』という声も出ていますが、『どうする家康』の不評によってそもそも『レジェバタ』への関心を失ってしまうケースは珍しくないようです」(同)

 

まさかの身内が足を引っ張る形となってしまった木村だが、涙ぐましい番宣行脚で、キムタクブランドを堅持することができるだろうか。