れいわ新選組の水道橋博士参院議員の辞職にともなう繰り上げ当選者の扱いに、野党からも困惑が広がっている。
2022年夏の参院選で比例名簿に載った落選者のうち、得票数が多い順に1年ごとに議員を務めるという方針だ。

 

23年1月16日に記者会見した山本太郎代表の弁によると、残された任期を「より有効に活用」するための方策だという。
だが、こういったやり方はそもそも制度が予定していない上に、仮に議席が割り当てられた人が離党した場合の扱いなど、運用面でも課題が浮上している。

 

水道橋氏は22年11月、うつ病であることを公表。
議員活動を休止しており、1月16日に辞職した。
一般的には、比例で当選した議員が辞職した場合は、比例名簿の次点が繰り上がり、残りの任期を務める。
れいわは、この任期を分割することにした。
れいわは22年夏の参院選で、水道橋氏ら2議席を獲得。
残る5年半の任期について、個人の得票順で3位以下だった大島九州男氏→長谷川羽衣子氏→辻恵氏→蓮池透氏→依田花蓮氏の順番で議員を務める。
具体的には、水道橋氏の次には大島氏が議員になり、1年後に辞職して長谷川氏にバトンタッチする、という想定で、山本氏はこれを「れいわローテーション」と「命名」した。

 

この突然の方針に、野党には困惑が広がった。
共産党の小池晃書記局長は、1月16日の記者会見で記者から「ローテーション」を知らされ、次のように応じるにとどめた。

「事実とすれば、それはちょっと制度のあり方としていかがなものかなという思いはあるが、基本的には比例代表というのは党で運営して判断する選挙でもあるという面もあると思う。
今の時点で、きちんとしたコメントは今聞いたばかりなので…。
その程度にしておきたい」

 

国民民主党の玉木雄一郎代表は1月17日午前の記者会見で、「いろんなこと考えられるなぁ、というのが率直な印象」。
制度が「ローテーション」を予定していたかについては、「なかなか予定していたとは言いがたい」とみる。
さらに、議席を割り当てられた人が仮に離党した場合、この仕組みが破綻する可能性も指摘。
この点を含めて議論すべきだとした。

「仮に途中で党籍を離脱して、離党したような場合は、それは(議席が)つながらなくなってしまって、れいわさんの枠ではなくなってしまうので、そういう担保をどうするのか。
そもそも、(任期を)そういう細切れでやることがどうなのか…、ということについては、いろいろ議論をしてみたらいいのでは。
最終的にはそれも含めて、選挙で判断される問題ではないか」

 

立憲民主党の岡田克也幹事長は、1月17日午後の会見で、明確に不適切だとの見方を示した。

「常識では非常に考えにくいこと。
制度上は不可能ではないかもしれないが、制度として考えていることとは違うと思う」

 

仮に今回のローテーションを容認すれば、1日で辞職するような事態も生じかねないことを危惧した。

「そういうことを許せば、毎日でも、1日でも国会議員とか、そういうことだってできてしまうわけで…。
繰り上がり当選というのは、何らかの理由で前職がバッジを外した場合に例外的にあり得る話であって、『毎年1人』という、そういうやり方は決して良いことではない」