これでは故人は浮かばれないのではないか? という気持ちになってきた。
岸田総理が「国葬義を秋に行う」といったのは、参院選で与党が勝利した直後であった。
その頃は国葬の賛否は、賛成が多かったのだ。
しかしその後じりじりと反対が多くなり、やがて反対が賛成より多くなったからだ。
その理由の一つとして岸田総理が言う「国葬義」をやる理由を、ちゃんと説明してこなかったこともあろう。
岸田総理や政府は「国葬義」という。
しかし野党もマスコミも「国葬義」とは言わず「国葬」という。
「国葬」と「国葬儀」に違いはあるのか?
岸田総理はこの2か月間、少なくとも国民が納得するような説明はなかったかと思う。
では「国葬」と「国葬義」の違いは何か?
・国葬:国葬令に基づいておこなわれるもの。(ただし現在は国葬を定める法律はなく、吉田茂元総理の時は野党への根回しのもと、超法規的に行われた)
・国葬義:内閣府設置法4条が定める儀式の一種。
というものらしい。
ちなみに67年の吉田茂元首相の「国葬」の際には、「歌舞音曲を伴う行事は差し控える。会社、その他一般でも哀悼の意を表するよう期待する」との閣議決定がなされ、テレビ・ラジオでは娯楽番組の放送が中止。
全国各地でサイレンが鳴らされ、学校や職場で黙祷が事実上強要されている。
しかし岸田総理がいう今回の「国葬義」ではそんなことはないらしい。
佐藤栄作氏が亡くなったときも「国葬」にしたいと当時の三木武夫元総理は考えたらしい。
しかし当時の吉国一郎内閣法制局長官が国葬について「法制度がない」「三権の了承が必要」との見解を示し「国葬」から「国民葬」に切り替えている。
また今回、多くの野党党首や野党議員が、これだけはっきりと「出ない」と発表するような葬儀もはじめてではないだろうか?
2000年の小渕元総理が急死し、内閣・自民党合同葬のときは、世界156か国や地域を含め約6千人の参列者が来た。
その中には当時のアメリカのクリントン大統領他各国の大統領が出席している。
今回の安倍元総理の「国葬義」は190か国の代表団にやはり約6千人の参列者の予定。
ただしバイデン大統領ではなくアメリカで人気のないハリス副大統領だ。
そのバイデン大統領は、エリザベス女王の国葬には出席と正式発表した。
岸田総理は参院選の直後に、あまり深く考えず野党への根回しもなく決めてしまった。
そのためいま、大変な論議になっている。
この国葬反対のことは、各国大使館が、逐一国に報告しているはずだから、大統領クラスが国葬義参列に躊躇している国も多いという。
いまだ出欠の返事がない国もかなりあるそうだ。
国葬義決定後に、安倍元総理が統一教会問題の中心人物であったこともわかってきて、これも各国に報告されているはずだ。
どうも岸田総理の当初の思惑とは、違ってきているらしい。