二宮和也主演のTBS日曜劇場『マイファミリー』が今クールの“覇権ドラマ”の栄冠を手にしそうだ。

 

初回はの平均世帯視聴率(関東地区・ビデオリサーチ調べ/以下同)12.8%としてスタートした同ドラマは、5月8日に放送された第5話で12.0%を記録。
第2話以来となる12%台に戻したほか、第3話・第4話も11%台を維持しており、今期では唯一、全話2ケタ台をキープしているドラマになる。

 

好調の理由は多く挙げられるだろうが、その一つが、主演の二宮を始めとする俳優陣の絶妙な演技だろう。
なかでも、主人公・鳴沢陽人(二宮和也)の妻の未知留を演じる多部未華子の存在は大きい。

 

2002年に女優デビューした多部は、33歳にしてすでに芸歴20年。
本作の主人公を演じる二宮とは2007年に『山田太郎ものがたり』(TBS系)で、刑事の葛城を演じる玉木宏とは2008年には『鹿男あをによし』(フジテレビ系)で共演している。

 

2019年には主演ドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)が、第57回ギャラクシー賞で奨励賞に輝くなど大きな反響を得た。
続けて2020年の主演ドラマ『私の家政夫ナギサさん』は、最終回が『逃げるは恥だが役に立つ』に続くTBSの火曜ドラマ枠歴代2位の高視聴率を叩き出し、さらに全話平均視聴率では『逃げ恥』超えとなる15.1%となり、同枠最大のヒットとなるなど、ノリにノっている女優だ。

 

『マイファミリー』では、母や妻としての“リアル感”も好評だ。
プライベートでは2019年に結婚し、2021年12月には第一子を出産しており、出産後初のドラマ出演となったのがこの『マイファミリー』だ。
夫とは仮面夫婦のような関係で、さらに愛娘が誘拐されてしまうという難しい役どころだが、自身の経験や感情が演技に反映されている印象もあり、ますます演技に深みを増したように感じた。
また多部の実年齢を考えると子どもが中学生1年生というのは大きすぎる印象もあるが、そこに違和感を感じさせないのもさすがというべきだろう。
視聴者からも「出産してあのスタイル維持はすごい!」「どんどん美しい大人の女性になってる」との声が多く、劇中で身に着けている衣装や小物にも注目が集まっている。

 

第5話では多部演じる未知留の活躍も光った。
学生時代の友人・三輪(賀来賢人)の娘の誘拐事件に巻き込まれた陽人(二宮和也)は、妻の未知留に相談せずに奔走。
何も知らない未知留は、陽人の行動を怪しむ。
帰宅した陽人に「香水みたいなにおいがする」と告げ、誰と会っていたのかを探り、陽人が風呂に入っている間に車のドライブレコーダーの映像を確認して、三輪の元妻・沙月(蓮佛美沙子)とふたりで車に乗っている姿を目撃する。
さらに友人の東堂(濱田岳)に、何か知らないかと怒りながら電話をする。
たまりかねて「私に何か言うことない?」と陽人を直接問いただすが、とぼける陽人に呆れた様子を見せ、翌日「実家に帰ります」とメッセージを送って家から姿を消すのだった。

 

陽人は不倫と勘違いされたとうなだれていたが、しかし未知留は陽人がまた誘拐事件に巻き込まれていることに感づいていた。
身代金の受け渡しが終わり、三輪の娘の監禁場所へ急ぐ陽人のもとに「今、犯人を尾行している」と電話した未知留。
ドライブレコーダーの映像を見て、陽人が交渉人をやっていると気づき、陽人の車にGPSをこっそり仕掛けて追いかけ、受け渡し現場を遠くから監視していたのだ。
実家に帰ったふりをして犯人の車を尾行する未知留の大胆な行動に「誰よりも有能」「頼もしい。かっこいい」と絶賛の声が上がった。
多部の“目力”が生きるキレ者の未知留は、ハマり役だといえるだろう。

 

二宮和也、多部未華子、賀来賢人、濱田岳と、実力派俳優を主要キャストに迎えた『マイファミリー』。
ジェットコースターのような展開が続くストーリーが話題だが、二転三転するこの物語に説得力を持たせているのは、間違いなく彼らだ。
「真相編」となる第6話以降もどんな話が展開されていくかはわからないが、演技の部分でガックリすることはないだろう。
最後まで安心してストーリーにのめり込むことができるドラマとなりそうだ。