「深く反省している。
失われた信頼を回復することは大変厳しい道のりと覚悟しているが、議員活動の中で答えを出したい」

 

7月の東京都議選の期間中に無免許運転で事故を起こして書類送検され、再選したものの、体調不良を理由に欠席を続けていた木下富美子都議(55)が9日、都議会に登庁した。

 

この日、三宅茂樹議長(71)らと面会した後、報道陣の囲み取材に応じた木下都議。
すでに2回の辞職勧告決議が全会一致で可決されていることに対し、
「重く受け止めている」
とする一方、
「ぜひ続けてほしいという声もあった。償うべき罪を償ったうえで、失われた信頼を回復していくのは厳しい道のりであることを覚悟しているが、一つ一つこれからの議員活動の中で答えを導き出させていただければと思っている」
と言い、辞職する考えはないことを説明した。

 

3カ月にわたって議会を欠席していることに対しては、
「よく寝られない日々が続いたり、食べ物が口を通らない日があったり、手がつかないようなイライラ、不安があった。寝ずに頑張ると高揚してハイテンションになるような、尋常でない状況が続いた」
などと体調不良を強調。
顔のほぼ半分が隠れる大きなマスク姿で、時折、「はあ、はあ」と大きく息を吸い込むようなそぶりを見せながら、ややうつむき加減で質問に答えていたのが印象的だった。

 

テレビのワイドショーでは、この木下都議の映像が繰り返し流され、コメンテーターらが
「条例を作る都議会議員としてふさわしくない」
「辞職して出直すべき」
などとコメント。

 

ネット上でも、
<多額の税金をたんまりもらって議会欠席とは>
<まさか、これで説明したとか言うんじゃないだろうな>
などと批判の声が多く見られたのだが、開き直りとも受け取れるあやふやな説明で居直る木下都議の姿とダブるのが、自民党の甘利明前幹事長(72)だ。

 

甘利氏といえば、2016年1月に都市再生機構(UR)をめぐる金銭授受問題が発覚。自身や秘書が現金を受け取ったことを認め、大臣を辞任。
この時、野党などが国会での説明を求める中、甘利氏が半年余りにわたって国会を欠席する理由に挙げたのが「睡眠障害の療養」。
「よく寝られない日々が続いたり、食べ物が口を通らない日があったり」などと話した木下都議と同じだった。

 

2019年の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反罪による実刑判決が確定した河井克行元法相(58)と妻の案里元参院議員(48)も、問題発覚当時、「体調不良」「よく眠れない」といった理由で国会を欠席していたが、木下都議も、こうした国会議員の説明を「参考」にしていたのか。

 

木下都議の言動がまかり通れば、今後も地方議会で同様のケースが必ず起こる。
「不祥事逃れ」の悪しき前例にしてはいけない。