文化勲章受章者でウィーン国立歌劇場音楽監督などを務めた世界的指揮者、小澤征爾さんが6日、心不全のため死去した。

 

「セイジ、セイジ」と誰からも親しまれたあの笑顔と音楽に永遠の休止符が打たれた。
アジアから初めてウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任した小澤さんは、日欧、日中、日米など世界の壁を次々になくしてきた。
「音楽によって心が一つになる」との信念を持つ小澤さんは、パリでもベルリンでもどこでもブラボーと花束に包まれた。

 

世代を問わず誰からも愛された。
世界の超一流の音楽家にも、ホールの事務局などの裏方にも、見せる笑顔は変わらなかった。

 

だが理不尽なことには厳しく戦った。
若かった小澤さんの指揮を拒否したNHK交響楽団に、頭を下げなかった。
チェリストの故ロストロポービチと一緒に行ったチャリティーコンサートに税金がかかると知り、国にかみついた。
「最後は音楽で分かり合うと信じた上でのけんか」と述懐していた。

 

小澤さんの指揮の一番の魅力は、弾むリズムと絵画のような音色。
世界の指揮界に、ヨーロッパの伝統に縛られないフレッシュな感覚を持ち込んだ。
「(師事した故)斎藤秀雄先生から、日本人はクラシック音楽の伝統がないけれど、悪い伝統もないと教わった」という小澤さんは、欧米に追いつき追い越せを目指していたそれまでの日本の音楽界とは、逆転の発想で世界に対した。
それがどれほどアジアの若い演奏家に影響を与えたか計り知れない。
今も、多くの若手が小澤さんの名を口にする。

 

小澤さんも後進の育成に力を注ぎ、「小澤征爾音楽塾」などで自らの経験をすべて伝えてきた。
また、不意に母校の桐朋学園のオーケストラの練習に足を運び、指導を行うこともあった。

 

 

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