マイナンバーのトラブルが後を絶たない。
岸田首相は「新型コロナ対応並みの臨戦態勢で国民の信頼を一日も早く回復する」と鼻息が荒いが、国民の“マイナ離れ”は日に日に加速。
マイナカードの自主返納の動きが広がる一方、カードの新規申請が減少している。
マイナカードは国外転出や有効期限切れの場合に返納する必要があるが、「使いたくない」「保有するのが不安」など自分の都合で「自主返納」することもできる。
自主返納しても、いったん付与されたポイントは利用可能だ。
石川県金沢市ではマイナカードの自主返納が急増。
4月1件、5月3件とほとんどなかったが、6月は21日時点ですでに19件に上る。
「6月以降、連日、マイナンバー関連のトラブルが報じられ、不安を抱き返納するケースが多い」(市民課の担当者)と答えた。
神奈川県平塚市でも4月1件、5月0件だったが、6月(22日時点)は7件が自主返納されている。
人口の多い東京・世田谷区や大阪市にも問い合わせたが、自主返納として集計していなかった。
総務省も全国の件数を把握していないという。
ただ、金沢や平塚のように、全国的にも自主返納が増えている可能性が高い。
「共通番号いらないネット」事務局の宮崎俊郎氏がこう言う。
「いったんカードを返却してしまうと、再発行には1000円の手数料がかかる。
健康保険証の資格確認を毎年取得する手間も生じる。
それでもカードを返すのはよほどのことです。
切実に不安を感じているからでしょう。
あるいは抗議の意思が込められているケースもあるのかも知れない。
メリットを期待してカードを取得したが、デメリットばかりと感じ自主返納する動きが広がっているのでしょう。
今後さらに増えると思われます」
厚労省が5月に実施した調査によると、マイナ保険証の利用者の56.5%が「メリットなし」と回答。
トラブルが表面化した6月以降なら、メリットどころか、デメリットを感じる利用者が増えているのは間違いない。
岸田首相は総点検を指示したが、今、起きている混乱は政府がマイナンバーをゴリ押ししたからだ。
自分で炎上させ、“火消し”するのはマッチポンプに他ならない。
岸田首相の指示を受け総務省は22日、会合を開いた。
「走りながらの総点検はあり得ない。
いったん、マイナンバー関連のシステムはすべて運用を中止してから、総点検すべきです。
例えば、このまま運用を続ければ、他人の医療情報をもとに診療や投薬をしてしまう恐れもある。
発覚していないだけで、すでにそのような事案が起きている可能性も否定できません」(宮崎俊郎氏)
全国保険医団体連合会もマイナ保険証の「運用停止」を訴えている。
マイナ離れを示す数値は他にもある。
デジタル庁が公表しているデータによると「マイナカードの申請」「健康保険証としての利用登録」「公金受取口座の登録」の件数(6月5日の週)は、いずれも減少傾向だ。
コロナ禍とは違い、岸田首相が運用停止を決断すればマイナ禍は収束する。
「令和の一揆」は岸田首相を動かすか。