「甘い認識で除草剤を撒いてしまった。それが植木や街路樹に影響を与えてしまったことがあると思う」

 

7月25日、自動車保険の保険金不正請求問題を巡って、中古車販売大手のビッグモーターが会見を開いた。
そこで和泉伸二専務(現社長)が、“店付近の街路樹への除草剤散布疑惑”について認めた。

 

「ビッグモーターの店舗前の街路樹が複数店舗で枯れ果てているとSNS上で話題になりました。
Googleマップの過去の写真と最近の写真を比較すると、青々と茂っていた街路樹が新しい写真では枯れ果てている様子が複数発見された。
マップでは除草剤を撒こうとするビッグモーター社員と思われる人物の姿なども見られ、ビッグモーターによる“仕業”という疑惑が生まれました」(ITジャーナリスト)

 

除草剤散布疑惑について兼重宏行社長(現在は辞任)はあくまで「現場判断」と自身の関与を否定。
一方、和泉氏は「現時点では、そういう指導はしていない」と、過去にそういった指導をしていたことを匂わせる回答をしており、疑惑について社としての回答はチグハグなものだった。

 

28日、ビッグモーターはホームページで《ご指摘を受け当社で調査したところ、当社の複数店舗におきまして、過去に店舗で清掃活動の際に使用した除草剤等による影響により、街路樹や植え込みが枯れた可能性が高いことが判明いたしました。》と、疑惑は事実であったことを認めた。

 

一部自治体では市長などが“市と市民の財産”を傷つけたと、怒りを表明している。
対応についてビッグモーターは《行政のご指導をいただきながら、外部専門家にも相談のうえ、土壌の入れ替えや植樹など、当社として原状回復に向けた手続きを行ってまいります。》と発表。

 

「そんななか“風が吹けば桶屋がもうかる”ではないですが、非常に注目が集まっているものがあります。
Googleマップではビッグモーター店舗前の街路樹付近に除草剤が置かれていたり、除草剤を持った社員と思われる人物が写り込んだ写真が見られましたが、その除草剤が“非常に高性能なのではないか”と話題になっているのです」(前出・ITジャーナリスト、以下同)

 

Googleマップの写真はそれほど鮮明というわけではないが、写り込んだ除草剤はフマキラー株式会社の『カダン除草王シリーズ ザッソージエース』だと思われる。

 

「一部ドラッグストアなどでは、この“話題性”を利用するためか、店の入り口付近にフマキラー商品を並べたコーナーを作るなど推している店舗も。
また、実際に品切れの店舗も続出しているようです。
たしかに“ある程度の大きさの街路樹をも枯らす”という事実は非常に強い宣伝効果があったと思います。
除草剤の効果は撒いてみないとわかりませんからね」

 

フマキラーの企業スローガンは“日用品質”。
その品質の良さがビッグモーター問題で図らずも多くの人に伝わった形だ。

 

効果はほかにも。“株が上がった”フマキラーの株価だ。

 

「フマキラーの株価は7月末に年初来の高値を更新しました。
ビッグモーターの除草剤問題は、テレビやネットニュースで連日報じられていますからね……」

 

そんな特需について、フマキラーはどのように捉えているのか。
同社に現状について問い合わせた。
まず『カダン除草王シリーズ ザッソージエース』という商品について。

 

「液体タイプの除草剤です。下記を参照していただければと思います。
カダン除草王シリーズ ザッソージエース 5L|園芸用品|フマキラー製品情報サイト(リンク)」(フマキラー株式会社担当者、以下同)

 

リンク先の商品ページを見ると《しっかり付着して根まで枯らす除草剤》とある。
確かにその効果はビッグモーターによって実証された格好だ。

 

ビッグモーターが街路樹を枯らす目的で除草剤を使用したことについて、また現状についてフマキラーとしてどのように考えているのか。

 

「当社商品が該当店舗で使用されたことは確認されておりません。
つきまして、特に申し上げることはございません」

 

Googleマップに写り込んだオレンジ色をしたボトルの除草剤はかなり高い確率で『カダン除草王シリーズ ザッソージエース』だと思われるが……。

 

いずれにせよ日本の除草界隈ではしばらくオレンジ色のボトルに入った除草剤が人気銘柄になりそうである。

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