《今後の人生では間違いを起こさない事を誓います》

 

5月31日の深夜、新たにアカウントを開設したばかりのインスタグラムに、人知れず謝罪文を投稿したのは元『BOYS AND MEN』の小林豊だった。

 

「小林さんは東海地区のご当地アイドル、通称『ボイメン』メンバーのひとり。
グループからの卒業を発表する予定だった4月8日の夕方、実は昨年10月に万引きをして警察に連行されていたことが『文春オンライン』に報じられたのです。
小林さんは即日、事務所を事実上のクビになりました」(スポーツ紙記者)

 

小林は’10年から『ボイメン』での活動をスタート。
’13年には『仮面ライダー鎧武』(テレビ朝日系)に出演し、ブレイク。
グループでは特に人気のあるメンバーだった。

 

『ボイメン』は長年にわたり愛知県警の広報大使を務めていたことも。
逮捕こそされていないが、あまりにも皮肉な不祥事となってしまった。

「事件が発覚してクビになった後、小林さんからファンへの言葉は何もないまま。
それがここにきて謝罪発表とは、当初の卒業予定だった5月末まで待っていたのかもしれません」(同・スポーツ紙記者)

 

だが、そうではない。
謝罪発表前、週刊女性はある人物からの電話で内情を知っていた。

 

5月下旬の午後9時過ぎ、週刊女性記者の携帯に“非通知”の文字が浮かび上がった。

「もしもし……。小林と申します。お手紙を読み、電話させていただきました」

電話口からは、消え入るように話す女性の声。
電話の主は小林の母親だった。
事件発覚直後の4月中旬、週刊女性は滋賀県にある小林の実家を訪ね、取材したい旨を記した手紙を置いてきていた。

「苦しくて……どうしていいのか、わからなくて……。謝罪することすらできないんです」(以下、小林の母親)

 

どういうことか。
母親は、涙ながらに言葉を紡ぐ。

「豊も本当に反省していて、最初から世間に向けて“謝りたい”とお願いしていたんです。
でも、事務所は“絶対にダメ”だと……。
実は契約解除のとき、書面が用意されていたんです。
そこには“発生した仕事の違約金は豊が支払う”“今回の件について、いっさい口外しないこと”と書かれていたようで。
豊も自分の責任だからと、ハンコを押したそうなんです」

 

つまり、解除時に事務所と結んだ“契約”により、何も発信できなかったというのだ。

「豊は事実が違うと言うつもりもないし、ただ謝罪したいだけ。
でも、何度お願いしてもダメと言われ、いつになれば謝らせてくれるかも教えてくれない。
もしかしたら豊が自ら命を……なんて想像もしてしまい、毎日不安で」

 

本人だけでなく、家族も苦しんでいたのだ。

「私の育て方が悪かったのかと自分を責めて、豊と電話で話せば責めてしまい、電話を切った後には自己嫌悪に。
ただ、本当に情けなくって……」

 

なぜ万引きをしたのか。

「事務所と話し合い、卒業は円満に決まったはずでした。
でも、実のところは怒っていて“アイツは裏切り者だから、絶対に許さない”と言っているなんて話が聞こえてきたようです。
それが精神的に相当なストレスだったみたいで。
ただ、どんな理由があろうと豊がしたことは許されないこと。
今は、とにかく謝りたい。それだけなんです」

 

小林も、ケジメをつけねば新たな道も歩めない。
そもそもこの“契約”は有効なのか。

 

労働問題に詳しい嶋崎量弁護士に話を聞くと、

「契約の効力がなくなる可能性は十分にあります。
まず、契約時に小林さんが万引きをしたという負い目があったことから“力関係”を利用して、本意ではないのに契約させられている場合は、取り消せる可能性があります。
そもそも彼に何のメリットもないのだから、真意で契約したとは考えにくいです。
また、契約書の中身が、一方的に負担を押しつける内容であれば、公序良俗違反で無効になる可能性はあるでしょう」

 

事実確認のため小林の元所属事務所に問い合わせるも、

「退社したタレントについての発言は、差し控えさせていただきます」
との回答をするだけ。

 

そこで週刊女性は小林の母親に、本人への取材ができないか交渉していたのだが、

「豊には何も言わず、私が勝手に電話をしたこと。ごめんなさい」
と言う。
真相はわからないままなのか─。

 

5月31日は『ボイメン』のリーダーだった水野勝が卒業公演を行い、ファンや事務所社長への感謝を口に。
本当は小林も同じ日に卒業するはずだった。
彼もどこかで旅立つ仲間の姿を見ているのか─。
すると記者の携帯に“非通知”での着信が。

「あの……小林豊です」

本人からの電話だった。

 

「直前まで悩みましたが、実は今日、謝罪を発表することに決めました。
先ほど母に連絡すると、取材を受けたという話を聞きまして。
僕が謝罪を発表する前に記事が出るのは困るので、急いで電話した次第です」(小林、以下同)

 

─謝罪は事務所の許可なく発表するということ?

「そうですね。強行突破というか……。
自分の人生なので、ちゃんと謝罪をして、次に進んでいこうと決めました。
ただ、事情があって、何も話すことができないんです」

 

小林の言う“事情”とは、事務所との“契約”のことだろう。
ただ、週刊女性の取材を受けるわけではないのだと話す。

 

「申し訳ないのですが、ファンにはちゃんと自分の口から今の気持ちを伝えたいと思っています。
なにより僕がやったことで、また僕への愛情から、母は記者さんに電話したと思うのですが」

 

─今後、豊さんは何を?

「もともとお菓子作りに専念したいと思っていました。
なので、自分の心のケアをしつつ、今後はお菓子作りを学んでいこうと思っています」

 

─パティシエとして修業をするということ?

「そうですね。
それはまた徐々に伝えていけたら。
本当にファンのみなさんには感謝していて……応援するって、無償の愛だと思うんです。
それを僕は裏切ってしまった。
なので、今後は絶対に裏切らないようにしたい。
だからこそ、まずは自分の言葉で伝えるべきだと思っています。
こんな調子のいいことを、いまさら言うなって話ですが」

 

記者と母親がやりとりしたときの様子を改めて伝えると、

「僕もどうしたらいいのかと悩んでいました。
でも、それ以上に母が苦しんでいたと知り、申し訳ない気持ちです」

 

最後にファンに向けて、これだけは伝えたい、と思うことがあるかを聞くと……。

「話しません!
いま言ったら、事前に話していたことになってしまうので。
ただ、SNSのアカウントもなくて、ちゃんと届くか不安はあります。
本物だと思ってくれないかもしれないし。
どうなるかはわかりませんが、これが僕なりの第一歩だと思います」

 

そして数時間後、冒頭の投稿がされたというワケだ。

 

自ら歩み進めた道を、再び違えぬことを強く願う。